<特集>ローカル5G 10大注目トレンドローカル5G対応デバイスの最新事情 映像伝送とロボットが焦点に

ビジネス現場のニーズに応える用途特化型ローカル5Gデバイスの開発が加速し始めた。中でもホットなのが映像伝送だ。ウェアラブルカメラや自律搬送ロボにもローカル5G対応の波が広がっている。

ユースケース開拓も商用利用も、現場ニーズに合致したデバイスがなければ始まらない。これも、ローカル5Gの普及を阻む要因の1つだった。

この課題が解消されつつあるのが、製造業と並ぶローカル5Gの本命市場であるメディア/エンターテイメント業界だ。映像伝送用デバイスが充実してきた。

スポーツ/イベントの中継映像や報道用映像を無線伝送できれば、撮影の自由度が増すことに加えて、データの受け渡し、コンテンツ制作・配信までの時間が短縮できる。無線化ニーズは以前から根強いが、そうした現場は人が密集しやすく、Wi-Fiや公衆5Gは通信品質の変動が大きい。ローカル5Gなら、高精細映像を低遅延かつ安定的に、しかも複数本送りたいというニーズを満たせる。

映像のプロにローカル5Gを

このニーズに応えて2023年、報道やスポート中継の現場で長らく使われてきたモバイル映像中継装置「LiveU」が、5Gとローカル5Gに対応した。NECが、ローカル5Gと組み合わせてゴルフ中継の映像伝送に活用している。

モバイル映像中継装置「LiveU」(カメラマンが背負っている端末)を使った撮影の様子(写真:NEC)

モバイル映像中継装置「LiveU」(カメラマンが背負っている端末)を使った撮影の様子(写真:NEC)

これに続いて、放送/映像制作機器で高いシェアを持つソニーも2024年3月、5G対応のポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」を発売した。LANポート、USB Type-C端子、HDMI Type-A端子を搭載しており、カメラから本機へ転送した撮影データを5G/ローカル5Gで無線伝送できる。

ローカル5Gの帯域を含め、国内外のSub6/ミリ波に幅広く対応。物理SIMとeSIMのデュアルSIM対応で、電波状況によって回線を自動的に切り替える。クラウドやFTPサーバーへ伝送するほか、本機経由でのライブストリーミング配信も可能だ。

ソニーのポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」。USBポートで充電しながら、HDMIでカメラから映像を受け取り、5G/ローカル5Gで無線伝送できる。左は、NECネッツエスアイのトランシーバーアプリを使っている様子(第4回ローカル5G合同検証会で撮影)

ソニーのポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」。USBポートで充電しながら、HDMIでカメラから映像を受け取り、5G/ローカル5Gで無線伝送できる。左は、NECネッツエスアイのトランシーバーアプリを使っている様子(第4回ローカル5G合同検証会で撮影)

価格は15万9500円(税込)と、京セラやシャープから販売されていたローカル5G対応ルーターより抑えている。

注目されるのは、Android OSを採用しており、6.1インチのディスプレイを備えること。スマートフォンのようにアプリを導入して機能や用途を拡充できる。プリインストールアプリを使って電波状況を可視化したり、通信品質・ファイル転送状況を表示できるほか、ソニーのクラウドサービスと連携して、コンテンツ制作・編集作業を効率化するアプリも使える。写真のように、トランシーバーアプリをインストールして、コミュニケーション機能を追加することも可能だ。

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