クアルコムジャパンは2024年8月28日、日本におけるIoT事業に関する記者会見を開催した。
パートナーとの連携によりIoTエコシステムを提供する
同社はモバイル事業に加えて、近年はIoT事業を強化している。「IoTのエコシステムの構成要素は1社でカバーできないため、パートナー連携が必要になる。日本はクアルコムのIoT事業にとって最も重要なリージョンの1つであり、パートナーシップを強化していく」とクアルコムAPAC 社長兼SVPのOH Kwon氏は語った。
クアルコムAPAC 社長兼SVPのOH Kwon氏
会見では、パートナーシップ強化をはじめとする3つの取り組みが発表された。
1つめが、Preferred Networksのグループ企業であるPreferred Robotics、北海道大学発ベンチャーのAWLとのISV(Independent Software Vendor)契約の締結だ。
Preferred RoboticsおよびAWLとISV契約を締結
クアルコムは、ISV契約したパートナーのソフトウェア資産をクアルコムのSoC上で提供している。「機能のタイムリーなアップグレードが可能になり、製品のさらなる競争力強化につながるため、ISV契約のパートナーは重要な役割を担っている」とクアルコムジャパン 副社長の中山泰方氏は説明した。
クアルコムジャパン 副社長の中山泰方氏
Preferred Roboticsは、自社開発のSLAM(自己位置推定とマッピング)技術を強みとし、自律搬送ロボット「カチャカ」やアマノと共同開発した小型床洗浄ロボット「HAPiiBOT」などに搭載されている。
このSLAM技術をクアルコムのロボティクスプラットフォームに実装することで、高性能ロボットを低消費電力で実現することを目指す。またクアルコムは、同じくPreferred Networks子会社で、大規模言語モデル「PLaMo」の開発を進めているPreferred Elementsと、小型で高性能な小規模言語モデル「PLaMo Lite」をエッジデバイスで活用するための協業も開始する予定だ。
一方のAWLは、リテール向けAIカメラソリューションを開発するベンチャー。ISV契約により、同社のエッジAI映像分析エンジン「AWL Engine」がクアルコムのモバイル向けSoCのSnapdragonに搭載される。すでにドラッグストアチェーン「サツドラ」では、このSnapdragonを搭載した機器が実装されており、顧客分析などに活用されているという。