NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と住友林業は2024年8月27日、「森林価値創造プラットフォームサービス(森かち)」を提供開始すると発表した。
地球温暖化による気候変動が深刻化するなか、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が2015年に採択され、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量“実質ゼロ”が目標として掲げられている。日本政府も、2030年度までにGHG排出量46%削減(2013年度比)を目指すことを表明している。
GHG排出量の削減にあたっては、各社の企業努力が必要になるが、森林のような吸収源の確保も必要になる。どうしても削減が難しい分については、GHG排出量を他の形で埋め合わせる「カーボンオフセット」という考え方があり、国内では2013年より、GHGの排出削減量や吸収量をクレジット(排出権)として国が認証する「J-クレジット制度」が開始された。
ただ、林業の担い手不足や整備資金の不足等により、国内森林の吸収量低下が懸念されている。森林の整備不足は水源の涵養や土砂災害防止、生物多様性保全などの多面的機能の低下にもつながるおそれがある。
住友林業 資源環境事業本部 脱炭素事業部長の西村千氏は、「カーボンクレジットを活用して森林・木材の循環利用を促進することが、GHG吸収のほか、森林の様々な機能を発揮させるために必要だ」と強調した。カーボンクレジットによって資金を創出できれば、その資金を森林整備等に適用できる。
カーボンクレジットの活用による森林・木材の循環利用
森林から創出されるクレジットは、森林由来J-クレジット(以下、森林クレジット)と呼ばれている。しかしJ-クレジット制度事務局の調査によると、森林クレジットの創出量は再エネ・省エネクレジットと比べてわずか10%、償却量は5%に過ぎない。
西村氏によると、「クレジット創出手続きが分かりづらく煩雑」「書類・図面だけでは対象森林の位置関係を把握することは難しく、審査に時間を要する」「クレジットに関する情報が限られており、クレジット購入者は欲しいクレジットを容易に見つけることができない」といったことがボトルネックになっているという。