モジュール交換で自由自在 一芯双方向通信にも対応
もう1つ、アクセス網への光波長ルーティングの拡張を支える製品分野としてリボンが注力しているのが、プラガブル・トランシーバーだ。
近年の光通信システムの光トランスポンダーでは、メーカー独自のカードに代わり、標準化されたポートに脱着可能なプラガブル・トランシーバーが広く用いられるようになった。この新市場には多くのベンダーが参入し、ユーザーニーズに応え得る多様な製品が提供されるようになっている。
リボンは、このプラガブル・トランシーバーを積極的に活用する戦略を採っている。光トランスポンダー製品にプラガブル・トランシーバーを活用することで、用途・目的に適した伝送技術が利用できることが最大のメリットだ。
Apollo 9603などの光伝送プラットフォームで利用されるトランスポンダーカード「TM400_2」は、ラインポートにプラガブル・トランシーバーを装着することで400Gbpsの光伝送に対応できる(図表2)。
図表2 プラガブルトランシーバーを活用した光伝送モジュールの例
プラガブル・トランシーバーを交換すれば、別の用途にも即座に対応。「400Gbpsの速度を必要としない用途では、安価な200Gbps対応製品も利用可能だ(滝広氏)
光ファイバーの利用料金が高い、増設が難しいといった環境では、1芯双方向伝送に対応したプラガブル・トランシーバーを用いて、限られた光ファイバーを有効活用することもできる。
加えて、新技術の早期導入が可能であることも、プラガブル・トランシーバーを用いる利点だ。1.2Tbps対応のトランシーバーがすでに製品化されており、リボンも昨年1.2Tbps対応CIM8を用いたトランスポンダーを発表し、本年2月にフィールドに投入している。
低速(1/10G)・既存サービスを大容量なオール光網へつなぐ
アクセス網への光波長ルーティングの拡張に向け、リボンが注力する3つ目の製品分野が、ROADMとともに収容局へ導入されることになると見られるOTN(Optical Transport Network)スイッチだ。
ROADMの設置により、400/800Gbpsといった超高速の伝送路が収容局まで届くことになる。
他方、収容局とユーザー間を結ぶアクセス回線の速度は1/10Gbpsから100Gbps程度だ。これらの比較的低速な回線/サービスを、低遅延/低ジッターという特徴を持った高速な光伝送路の中に束ねて、いかにして別の拠点に送るのか──。この課題を解決する役割を担うのがOTNスイッチ(OTNクロスコネクト)である。
1Gや10Gといった低速回線を“OTNパス”として束ねることで、太い光回線に収容してメトロ・コア網へ届けることができるもので、リボンでは、収容局にも容易に導入できる1UサイズのOTNスイッチ「Apollo 9901X」をすでに展開している。
低速回線集約に最適な小型OTNスイッチ「Apollo 9901X」
光の特性をより広い範囲で活用しながら、アクセス回線の利用効率を高めることが可能になり、リボン IPオプティカル営業本部 本部長を務める宮下泰彦氏は「こうした利用法は欧米ではすでに行われており、宅内設備として企業が自らOTNスイッチを保有するケースも出てきている」と明かす。日本での展開はこれからだが、「(オールフォトニクスネットワークの実現をめざす)IOWN構想の進展に伴い、関心が高まってきている」とのことだ。
リボンは今年7月、通信事業者や国内外のベンダーなどが参加するIOWN構想の推進団体「IOWNグローバルフォーラム」に加入。これを機に、日本での光インフラ事業のさらなる拡大を目指す。
「140以上の国・地域で製品を展開するグローバルベンダーとして、日本と海外の光ネットワーク分野に関する知見をつなぐ役割を果たしていきたい」と滝広氏は意欲を見せる。
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