変わる通信業界の経済安全保障 セキュリティ・クリアランス創設へ

経済安全保障で後れを取っていた日本。ようやくセキュリティ・クリアランス制度が創設される。基幹インフラを扱う電気通信も対象となるが、通信業界にどのような変化をもたらすのか。

5月10日、「重要経済安保情報保護・活用法」が参院本会議で可決・成立した。同法の柱となるのが、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス(適格性評価)制度の創設だ。

図表1 「セキュリティ・クリアランス」制度の概要

図表1 「セキュリティ・クリアランス」制度の概要

セキュリティ・クリアランスとは、政府が保有する安全保障上重要と指定された情報にアクセスする必要がある者(民間企業の従業員や研究者)に対し、政府による調査を実施し、信頼性を確認したうえでアクセスを認める制度である。

従来、特定秘密保護法において適格性評価が規定されていたが、防衛・外交・スパイ防止・テロ活動防止の4分野に限定され、経済・技術分野は対象外だった。

米国や英国など欧州の主要国におけるセキュリティ・クリアランスは、外交・防衛や経済・技術といった区分がなく、国家安全保障に関して網羅的に整備されている。このため、「日本の経済・技術分野における情報保護は、国際的なレベルから乖離していた」と三菱総合研究所 先進技術・セキュリティ事業本部 主席研究員の谷田部智之氏は指摘する。

近年、米中対立やロシアのウクライナ侵攻の影響は、中国によるレアアースの輸出禁止やロシアによる天然ガスの供給停止など経済分野にも及んでいる。そうした中で、日本でも経済安全保障の強化は急務となっていた。

図表2 調査機能の一元化の基本的な考え方と効果・業務フローのイメージ

図表2 調査機能の一元化の基本的な考え方と効果・業務フローのイメージ

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