現場を知り尽くすアシスタントがいつもそばに
BizStack Assistantは具体的にどんな場面で使えるのか。プロダクトマネージャーの渡邊飛雄馬氏は、「現場に何があるのか、何をするべきかを教えてくれるアシスタント」と表現した。
例として、トンネル工事現場で使う水中ポンプの異常検知・復旧、確認のやり取りを示したのが次の画像だ。
BizStack Assistantの応答例1
ポンプの稼働が停止するなどの異常が発生すると、チャットで通知される。そのアラートに対して「水位を教えて」と聞くと、チャットボットが「52%です」などと回答。心配なら「ライブ動画を見せて」と言えば、現場のカメラ映像を即座に表示してくれる。
復旧作業が必要と判断すれば、「復旧方法を教えて」と命令。チャットボットがマニュアル等を参照して復旧手順を表示するとともに、「漏電が発生している可能性があるので、必ず配電盤のブレーカーを落として作業する」「絶縁手袋を着用する」などの注意事項も教えてくれる。
BizStack Assistantの応答例2
このほか、「先週の平均温度を教えて」や「今月の稼働レポートをまとめて」といったリクエストも可能だという。故障対応の迅速化だけでなく、日報・週報・月報などの業務効率化にも役立つ。
西松建設は、点検・異常対応時間を4割削減
一足早く、このBizStack Assistantを現場で活用しているのが西松建設とパナソニックだ。
西松建設は、建築工事現場での点検・異常対応に活用。複数の現場に設置した多数のセンサーやカメラをチャットで呼び出して確認することで、現場の見回り作業などが激減。点検・異常対応に要する時間を40%も削減したという。
西松建設の導入効果
パナソニックは、再生可能エネルギーによる自家発電施設の監視に使っている。施設が大規模なだけに、発電量や消費電力を確認するのに時間がかかり、また、分析のための数値計算が面倒、作業ノウハウが属人化しているなどの課題があったという。
BizStack Assistantを導入することで、発電量・消費電力に関する数値は瞬時にグラフ化することができ、平均値や最大・最小値等の集計も、チャットで命令するだけで瞬時に完了できるようになった。また、作業ノウハウはFAQ化。回答率は98%以上で、属人的なノウハウの共有にも貢献している。
パナソニックの導入効果
上田氏によれば、生成AIをIoTのインターフェースとして用いたソリューションは、BizStack Assistantが世界初という。正式リリース後も、さらなる開発を続け、「1カ月に1つのペースで新機能を出す」と話し、この業界をリードしていく考えだ。
また、現状はチャットをインターフェースに用いているが、これも現場のニーズに合わせて変化・進化させていく計画だ。環境によってはスマホでチャットするのも困難なケースは存在しており、渡邊氏は、「インカムで応答したり、MRグラスを使ったりすることも考えられる」と展望を語った。