ブロケード コミュニケーションズ システムズは2012年3月8日、キャンパスネットワーク向けの新コンセプト「Effortless Network ~手間のかからないネットワーク」と、エッジスイッチの新製品「BROCADE ICX 6430/6450」シリーズを発表した。
会見では最初に代表取締役社長の青葉雅和氏が、「キャンパスネットワークの要件はまったく変わってきている」と、新コンセプトの背景を説明した。
まず同氏はガートナーの調査結果をもとに、従業員1人当たりのネットワーク投資は年間平均1400ドル(約10万円)にも及び、またその約半分は運用コストであると紹介。その一方でCIOは、IT予算が増えないなか、モバイルデバイスやビデオの普及などの技術革新に対応し、ユーザーエクスペリエンスの向上を図る必要に迫られているとした。
つまり、いかにネットワークのコストを抑えながら技術革新していくかがテーマになっており、その答えとしてブロケードはEffortless Networkを打ち出したという。
複数スタックを単一のIPアドレスで管理
Effortless Networkは、次の2つの新技術により実現される。1つめは「シングル・ポイント・マネジメント」だ。これは、すべてのエッジスイッチの初期設定や設定変更、ソフトウェアアップグレード、監視などの運用管理を一元化するもの。これにより運用コストを削減する。
シングル・ポイント・マネジメントの概要 |
複数台のスイッチを1台のスイッチとして一元管理する技術としてはスタックが普及しているが、システムエンジニアリング部 部長の村田眞人氏はスタックとの違いをこう説明した。
「スタックの場合、同じシリーズの同じ型番のスイッチ同士、しかもすべてのスイッチがL3を話せる必要があった。しかしシングル・ポイント・マネジメントでは、そうした制約がない」。同社製のスイッチにはもちろん限定されるが、柔軟な構成がとれるという。
ブロケード コミュニケーションズ システムズ エンタープライズ システムエンジニアリング部 部長 村田眞人氏 |
また、スタックは、スタックできるスイッチの台数に制限があるため、一般的にフロアごとなどにスタックが行われるケースが多い。例えば、4フロア×4台=合計16台のスイッチを運用するオフィスの場合、各フロアのスイッチ4台ずつをスタッキング。論理的に4フロア×1台=合計4台のスイッチとして運用するといったかたちだ。しかし、シングル・ポイント・マネジメントでは、さらにこれら論理的に4台となったスイッチも、単一の管理IPアドレスで管理できるようになるという。そのため、社員のフロア移動に伴う設定変更で起こりやすい人的ミスなども減らせるとのことだ。
なお、シングル・ポイント・マネジメントはコントロールプレーン全体を一元化する技術ではなく、そのうちのマネジメントプレーンだけを統一する。よって一元管理するスイッチのどれか1台に障害が起きても、他のスイッチに影響が及ぶことはないという。