公式LINEを通じて市民に周知
さらに、メタバース空間で住民同士、NPO、行政と住民など、様々な交流会やセミナーも開催する。
場所や時間にとらわれず、交流会に参加できる
多くの自治体で市民同士、あるいは市民と行政とのコミュニティ形成の一環として交流会が開催されているが、リアルの交流会は物理的な場所の確保や設営準備等の負荷が高く、実施の時間や回数が限られる。これに対し、メタバース上での交流会は、市民がどこにいても、また市役所の開庁時間以外にも参加可能なため、心理的なハードルを下げ、参加しやすくなる。これにより活発な交流を促し、市政への参加につなげたいという。
DNPは、2021年から展開しているXRコミュニケーション事業を通じて培ったバーチャル空間の構築・運営ノウハウに加えて、様々な企業や自治体の業務プロセスを改善するBPO(Business Process Outsourcing)・BPR Business Process Re-engineering)の知見がある。電子申請手続き業務は、実証では入力方法のサポートにとどまるが、将来的には行政システムと連携し、メタバース内で各種申請手続きが完結する仕組みの導入も検討する。
また、メタバースはセキュリティ対策が進んでいないことが課題だが、不審者や妨害者を強制的に排除したり、通信の暗号化により会話内容の傍受を阻止するなど、「市民および自治体が安心して利用できるメタバース空間を提供する」とDNP ABセンター XRコミュニケーション事業開発ユニット 未来創造ラボ リーダーの野内みゆき氏は説明した。
会話内容の傍受を阻止するなど「安心・安全」に利用できる
実証事業はすべての市民を対象とし、桑名市の公式LINEやポスターなどを通じて実証事業の周知を図り、参加を促す。「空間や時間の制約を受けないので、(移動が難しい)高齢者にも受け入れてもらえれば」と伊藤市長は期待を述べた。期間は3月29日までの約1カ月間。利用者と職員の利便性、手続きの負担軽減、地域交流の活性化などの観点から効果を検証し、窓口業務のDXや行政サービスの向上につなげる。
桑名市では「誰一人取り残さない、デジタル社会の実現」を目指している
DNPは、実証事業を通じて桑名市のDXを支援するとともに、他の地域でも同様のサービスを展開することで、各地域の課題解決を支援する。2025年度に40自治体へのメタバース役所の導入を目指しているという。