光伝送市場への参入は2020年と最後発ながら、着実に存在感を高めているベンダーがいる。リボン・コミュニケーションズだ。同社のユニークさは、広帯域化・高密度化ニーズに応える“1テラ超”の先端技術をカバーしつつ、低・中速/レガシーサービスの延命や集約、効率化といった通信事業者の“困りごと”解決にも手を抜かないところだ。サービスプロバイダ営業部 本部長の宮下泰彦氏は、顧客の幅広い声に応えてきた3年間を振り返る。
「日本市場で数十年やってきたベンダーも多くいるなか、我々の提案を喜んでいただけるお客様は意外と多い。光伝送市場には、マーケットサイズが小さいために大手ベンダーが目を向けない領域がたくさんあるからだ。そこを手当てすることで、様々なお客様から支持をいただいている」
リボン・コミュニケーションズ サービスプロバイダ営業部 本部長 宮下泰彦氏
満を持して市場投入する「1波1.2Tbps」の新シリーズ
つまりは、光伝送システムへのニーズがそれだけ多様だということだ。
市場における最大トレンドは、ビッグテックや大手キャリアの主要ニーズである広帯域化だ。だが、市場を構成するキャリアやケーブルテレビ事業者らの要望は実に多彩である。速度・機能が異なる様々な通信サービスをいかに効率的に運用できるか──。リボンは、そんな期待に応えるソリューション提案の幅を広げてきた。
どんな提案が今、受けているのか。同社の注力ポイントを見ていこう。
最先端技術の領域では、現時点で市場最速となる「1波1.2Tbps」を実現する新製品を2024年2月に投入する。2RUに最大で19.2Tを収容でき、かつ、需要に応じて1.2Tずつ拡張できる柔軟性を備える「Apollo 9408」だ(図表1)。
図表1 コンパクトモジュール型次世代機「Apollo 9400シリーズ」
リボンが“満を持して投入する”戦略商品でもある。同社は従来、汎用型のWDM/OTNシステムを主力としてきた。後述するように、その汎用性を活かしたソリューション提案が顧客からの支持を得る要因となったが、一方で、広帯域化を追求する顧客の要求に応えるのは難しかった。ハイパースケーラーに見られる、400G/800Gのデータセンター間接続(DCI)といったソリューションだ。Apollo 9408は、その需要に特化したコンパクトモジュラー型システムである。
2025年には他ベンダーから、ボーレートを200Gbaudまで高めて1波で1.6Tbpsを可能にする製品も登場する予定だが、いち早く1.2Tbpsを実現したApollo 9408なら「それまで待たなくていい。すぐに140Gbaud、1.2Tbpsが使える」。かつ、「プラガブルモジュールを追加して伝送容量を段階的に拡張できる」ため、必要十分な容量・性能で始められるのも利点だ。導入費用はもちろん、消費電力や電気代も最適化できる。
さらに、DCIなら1.2Tbps、中距離なら800Gbps、そして長距離伝送では400Gbpsと、用途に応じて柔軟な光ネットワークを組めることも見逃せない。