ソフトバンクなど、慶應義塾大学SFCのバーチャルキャンパスを構築

ソフトバンク、慶應義塾大学研究所、O株式会社は2023年12月19日、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパスのバーチャルキャンパスを構築し、Oのメタバースプラットフォーム「MEs(ミーズ)」で公開したと発表した。SFC研究所が運営する「デジタルツインキャンパスコンソーシアム」活動の一環だ。

メタバース上のバーチャルキャンパスのイメージ

メタバース上のバーチャルキャンパスのイメージ

3者は、ソフトバンクが提供する地図データなどを活用してMEs上にバーチャルキャンパスを構築し、その中で講義などを行う実証実験を2023年9月から実施している。

この実証実験は、学生がバーチャルキャンパス内を自由に動き回りながら、講義を受けたり、建物や授業のシステムなどをデザインし直したりすることで、学生の主体的な行動を促進する次世代キャンパスの実現を目的に実施するものだ。

今回の実証実験では、以下の2つの実証を行っている。

1. キャンパスのデジタル化(バーチャルキャンパスの構築)
デジタルツインキャンパスコンソーシアムにおいて、ソフトバンクは、キャンパスのデジタル化に必要な基盤情報として、航空写真から作成した3D地図や、MMS(Mobile Mapping System)を搭載した車両で計測した点群データなど、様々なデータを提供している。今回の実証実験では、これらのデータを活用し、MEs上にSFCのバーチャルキャンパスを構築した。

Oが提供するMEsは、メタバース上でテキストや画像、Webリンク、3Dオブジェクトといった様々なデータ形式の創作物やアイデアを可視化することができる、次世代のクリエーションを促進するためのコラボレーションツール。今回、MEsの機能の11つであるワールドマップを活用し、SFCの道路や樹木、建物など物理空間上にある物体をメタバース上に再現した。

ワールドマップでの再現には、多くの写真や正確な縮尺などが必要だが、ソフトバンクが撮影した航空写真や点群データなどをベースに再現し、建物などはOの3DCGアーティストチームがモデリングを行うとともに、Oの独自技術であるMEs EngineとUnreal Engineを組み合わせることで、SFC全体をワールドマップ化した。

ユーザーとなる学生は、高精細に再現されたバーチャルキャンパス内を自由に動き回ることができ、その空間に自身の創作物を配置することが可能。現実空間ではできないようなクリエーティブな取り組みをこのバーチャルキャンパス上で実施することで、現実空間に起こる作用を観測していく。

2. イマーシブシラバス

構築したバーチャルキャンパスで授業を行う際、シラバス(授業計画のドキュメント)をメタバース上に展開する。通常のシラバスを3Dテクスチャーとして展開するだけでなく、学生が探索して触れ合いながら学べるシラバス体験を作り出すことが可能だ。この体験には、参考文献、読み物、プロジェクトの3Dモデル、アサインメントのビデオなど、様々な情報とのインタラクションが含まれる。これにより、教員が学生に一方的に情報を提供するだけでなく、学生が主体的に新しい学問と向き合い、教員や学生同士が双方向でコミュニケーションを取れるような空間を構築することで、授業開始前に学生の履修意欲を高める新たな講義の形を創出する。

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