<連載>SX/GX最前線スマホもNW機器も リユースで実現するサステナビリティ

モノを長く使うことは、サステナビリティ実現の基本だ。スマホや企業向けネットワーク機器も例外ではない。ハードウェアの「循環型」の利用が、ユーザーと地球環境の双方にメリットをもたらす。

新品端末の価格上昇や機能の成熟などを背景に、中古スマートフォン市場が拡大している。IDC Japanの調査によると、2021年度の中古スマホの販売台数は212万台。2026年度には342万台に達すると予想している。

中古スマホを扱う事業者らは、業界団体の一般社団法人リユースモバイルジャパンを2020年に設立し市場のさらなる活性化を図っている。同団体は、端末の外装状態に関する明確なランク分けや個人情報消去のプロセスについて規定した「リユースモバイルガイドライン」を策定し、中古スマホの品質向上に取り組んでいる。

「モバイルのライフサイクルを革新し、Mobile as a Serviceを確立したい」と、ニューズドテック 代表取締役CEOの粟津浜一氏は言う。氏は業界団体の理事も務める。

ニューズドテック 代表取締役 CEOの粟津浜一氏(左)と、取締役 CMO 仕入本部 本部長 トリスマ仕入部 部長の冨永潤一氏

ニューズドテック 代表取締役 CEOの粟津浜一氏(左)と、
取締役 CMO 仕入本部 本部長 トリスマ仕入部 部長の冨永潤一氏

その取り組みの中心が、アプリが端末の状態を診断し最適な買い替えタイミングをアドバイスするというサービス「トリスマ」だ。

粟津氏は、「壊れる兆候が出たときが最もロスなく買い換えられるタイミング」と話す。あるいは、中古車のように高い値段が付くタイミングで売却してもいいという。トリスマでは端末が最大50%割引になるクーポンを配布し、診断から購入につなげようとしている。ニーズに合わせてユーザーはスマホを気軽に「交換」し、その結果1台の端末を欧米並みに3、4回転させることを目指す。

中古端末利用による温室効果ガス(GHG)の削減効果も見逃せない。同社 取締役CMO 仕入本部 本部長 トリスマ仕入部 部長の冨永潤一氏は、「中古端末利用はScope3のGHG削減に貢献する」と説明する。アップルが公表しているデータを元に、国内の端末シェアを考慮して新品のiPhone製造にかかるGHG排出量を計算すると1台あたり51.9kgとなる。これに対し、同社の中古端末回収・検品・リペアにかかるGHG排出量は1台あたり0.2kgだという。スマホを3台使用すると仮定した場合、2台目から中古端末に切り替えると66.4%、中古端末のみを使用すると99.6%ものGHGを削減できることになる(図表1)。

図表1 新品・中古スマートフォンのCO2排出量比較

図表1 新品・中古スマートフォンのCO2排出量比較

同社では法人にも端末を提供する。多くの端末を必要とする法人が中古スマホを選択すれば、そのGHG削減効果は大きい。

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