韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第9回]NFCで始まった金融と通信事業者の覇権争い(中)――中国と韓国の最新動向

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。前回に続き、日本での注目も高まる「NFC」をめぐる覇権争いに迫る。

去る4月29日、中国銀聯(チャイナユニオンペイ)は、NFCを利用したAndroid端末によるモバイル決済のトライアルに関する発表会を開催した。四川省成都市でスタートしたトライアルは現在、上海、深センなど6都市に拡大しているが、注目はNFCチップとSE(Secure Element)の両方ともmicroSDカード内に実装している点である。

4月29日の発表会で披露された中国銀聯(チャイナユニオンペイ)のモバイル決済画面
4月29日の発表会で披露された中国銀聯(チャイナユニオンペイ)のモバイル決済画面

前回解説した通り、NFCをめぐる覇権争いにおいては、NFCを実現するためのチップ、特にSEがどこに実装されるかが重要な意味を持つ。microSDにNFCチップとSEが搭載されたということは、携帯電話事業者の影響をほぼまったく受けることなく、中国銀聯はNFCを展開していけるということである。

中国銀聯とは、2002年3月に中国国内の80強の金融機関が共同設立したオンライン決済システム会社だ。銀聯ネットワークは中国で唯一の対外決済ネットワークであり、また中国銀聯の発行する銀聯カードは中国では現金に次ぐポピュラーな決済手段となっている。つまり、中国銀聯がmicorSDベースのNFCソリューションを選択した意味は計り知れなく大きい。

橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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