ファーウェイ・ジャパンは2011年5月24日、同社の端末戦略に関する説明会を行った。これまでにも国内でモバイルデータ通信端末「Pocket WiFi(ポケットワイファイ)」をはじめとする各種端末を展開してきた同社だが、端末営業統括部統括部長のチン・ヨウ氏は、「通信インフラの会社」としてのイメージが強いとしたうえで、「エンドユーザーに知ってもらうためにブランド認知度を高めなければならない」と課題を述べた。今後は、スマートフォンやタブレットなど、データ通信端末以外の領域にもさらに注力するとともに、ブランド構築に向けた取り組みも進めていくと方針を語った。
ファーウェイ・ジャパン端末営業統括部統括部長のチン・ヨウ氏 | ファーウェイ端末事業のグローバルオペレーション(クリックして拡大) |
●2013年に世界トップ5を目指す
現在、ファーウェイの端末事業の規模は、グローバルで2010年度は売上高45億ドルであり、2011年度は60億ドルを見込む。インフラ事業を中核事業としてきた同社だが、チン氏いわく「エンドトゥーエンドのソリューションを提供するためには端末の強化が必要」との認識から、2013年までに世界トップ5の携帯電話ベンダーを目指すという目標を立てている。
具体的には、2011年からブランド確率のための取り組みを開始。今年は中国と英国で戦略商品のリリースとブランディング活動を開始し、2012年には日本、米国、インドなど、2013年には全世界に活動を拡大する計画という。
今年から、端末分野でのファーウェイブランド確立に向けた取り組みを進めていく |
端末製品については、従来強みを発揮してきたM2MモジュールやモバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレームなどの家庭向け端末におけるリーディングカンパニーとしての地位を維持しながら、Androidスマートフォンのラインナップを拡充していく方針だ。その例として、チン氏は中国と米国におけるAndroidスマートフォンの展開例を紹介。中国で発売した「C8500」は100万台を出荷し、米国市場では「M860」が1週間で4万台販売、3カ月で100万台出荷を達成した。
ファーウェイの端末事業の強みとしてチン氏が特に強調するのが、通信事業者との密接な関係だ。通常、新規に開発した端末はプロトタイプを各国の通信事業者に持ち込み、その後各々のニーズに対応しながら、国ごとに異なる仕様や特徴を備えた端末へと仕上げていく。インフラ事業を中核事業としてきた同社製品は、世界上位50社の通信事業者のうち45社で採用されており、ここで培ったノウハウや、多くの国のエンドユーザーのニーズを理解していることが端末事業においても大きな強みとなっているとチン氏は話した。
国内における今後の端末事業についても、下図のように、これまで展開してきたモバイルWi-Fiルーターやフォトフレームなどの領域をベースに、昨年発売された「IDEOS」に続き、Androidスマートフォンやタブレット端末を拡充していくという。
日本市場向け端末は、4つのカテゴリで投入。Androidスマートフォンやタブレットも順次拡充する方針だ |
国内での端末事業を後押しするのが、日本に新たに設立されたR&Dセンターだ。これをベースに端末のローカライゼーションを強化。また、ショップからの質問に対応するコールセンターの拡充などにも取り組んでいく。