韓国チェジュ島で進む大規模スマートグリッド実験(前編)――5万人の新規雇用と7兆円の内需を創出

イ・ミョンバク大統領の強力なリーダーシップの下、済州島(チェジュ島)で大規模なスマートグリッドの実証実験を進めている韓国。今回から2回にわたって、韓国のスマートグリッドへの取り組みをレポートする。

風力発電と太陽光発電に適したチェジュ島

今回訪問したのは、チェジュ島のスマートグリッド実証実験で中心的な役割を果たしている韓国電力(KEPCO)の広報館だ。ちなみにKEPCOは、政府が51%の株式を保有する半官半民企業。かつて韓国には3つの電力会社があったが、現在ではKEPCOが唯一の電力会社である。

実証実験に参加する企業・団体の施設は島の東エリアに点在しており、チェジュ空港からは車でおよそ1時間の距離だ。チェジュ島がスマートグリッドの実験場所として選ばれた理由は、空港からKEPCOの広報館に向かう間に分かってきた。

チェジュ島に点在するスマートグリッドの実証実験施設
済州島(チェジュ島)に点在するスマートグリッドの実証実験施設

チェジュ島は昔から強風で有名だ。実際、取材日もかなり強い風が吹いていたが、そのため巨大な風力発電機が数多く建設されている。また、「韓国のハワイ」とも呼ばれるチェジュ島は日差しも強く、太陽光発電にも都合がよい。そこで、実験施設の電力の多くは、これらの自然エネルギーによって供給できているという。

強風で有名な済州島(チェジュ島)には多くの風力発電機が設置されている
強風で有名な済州島(チェジュ島)には多くの風力発電機が設置されている

実証実験施設の建設は2009年8月にスタートし、予定では今年5月に終わる計画だ。そして、6月から本格的な実証実験に入り、2013年に終える工程となっている。担当者の話では、建設完了は6月にずれ込むようだが、ほぼ予定通りに推移しているそうだ。

橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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