“VPN不要”でスマホからリモートアクセス――キャリア3社が採用する「CACHATTO」とは?

“VPN不要”で情報漏洩を防ぐ独自方式のリモートアクセス「CACHATTO」を販売するいいじゃんネット。スマートフォン/タブレット端末の導入ハードルを下げるソリューションとして好評を博しているそうだ。

「iPadに対応した後、この半年の手応えはすごい。Androidスマートフォンやタブレットがビジネスユースでも台頭してくる新年度は、さらに大きく伸びると期待している」

各種モバイル端末からネットワーク越しに社内システムを利用するリモートアクセスソリューションが活況を呈している。いいじゃんネット(本社・東京都千代田区)が提供している「CACHATTO(カチャット)」もその1つだ。同社・代表取締役の坂本史郎氏の言も冒頭のように力強い。

後押しとなっているのは、言うまでもなく、スマートフォンとタブレット端末だ。CACHATTOは、外出先でも携帯電話やノートPCから社内のメール・スケジューラ等が使えるソリューションとして2003年に販売を開始。順調にユーザー数を拡大してきたが、坂本氏は「2010年に流れが変わった」と話す。iPhoneとiPadでCACHATTOを利用するユーザーが急増。特にiPadの影響は目覚しいようだ。

大画面で直感的に操作できるiPadは、CACHATTO販売の力強い後押しになった。経営層などにも利用者が広がったことで、業務アプリ連携の幅も広がっているという
大画面で直感的に操作できるiPadは、CACHATTO販売の力強い後押しになった。経営層などにも利用者が広がったことで、業務アプリ連携の幅も広がっているという

顧客企業の代表例は、2010年にiPadを1300台導入した大塚製薬。MR(医薬情報担当者)の業務効率化を目的としたCSKの営業支援システム「MR2GO」(販売実績や顧客別活動履歴の参照、ダッシュボード機能などを備える)とCACHATTOを組み合わせて活用している。

CACHATTOのユーザー数は2011年1月時点で約300社8万人であるが、iPadからの利用者はわずか半年余りで5000人を突破したという。ドコモのGALAXY Tabをはじめ、タブレット端末の一層の普及が見込まれる今後への期待が膨らむのも当然だ。

3キャリアが推奨サービスに

「流れが変わった」というのは、単にユーザー数の伸びだけではない。「商談の内容が変わってきた」と話すのは営業部部長の三井智博氏だ。

リモートアクセスと言えば、営業社員などが外出先でメールやグループウェアを利用するといったシーンが思い浮かぶ。だが、最近はそれだけでなく、決済やワークフローなどの業務システムを使いたいというニーズが増えているという。

「従来は、外出する社員との連絡効率化の訴求がメインだったが、最近は、スマートフォンやタブレットで『業務スタイルを変えましょう』という提案に変わってきている」と三井氏は話す。

SFAと連携させて活用している前述の大塚製薬はまさに好例だ。ユーザー企業の経営層などがこうした新端末を、業務改革を実現するためのアイテムとして見ている証左と言えるだろう。

リモートアクセスの提案は今後、メールやグループウェアを主体とした活用法から、業務アプリとより深く連携した業務改革提案へと変わっていく。

この勢いを駆って、いいじゃんネットは販売体制の拡充にも乗り出している。スマートフォン/タブレット端末の法人販売に力を入れる通信キャリアとの協業だ。

ドコモの販売チャネルを通じてモバイルパッケージ製品を展開する「ドコモ・プロスパート・プログラム」に登録されたのが1月。続いて2月には、ソフトバンクモバイルのパートナープログラム「SoftBank Solution Provider PREMIUM」への加入と、KDDIとの協業もスタートした。各キャリアの端末向けに専用サービスも開発し、今後はキャリア3社の販売チャネルも通じて展開する。

本記事は月刊テレコミュニケーション2011年4月号に掲載した記事を再編集したものです。内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります。

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