「“真のユニファイドコミュニケーション”がユーザー企業を魅了」 ~ 米アバイア幹部に聞いたUC戦略

多様なコミュニケーション手段を統合する新UI「Avaya Flare Experience」で、“真のUC”を実現したというアバイア。同社のUCソリューションの特徴をバイスプレジデントのエンツォ・シニョーレ氏に聞いた。

――アバイアは先般、ユニファイドコミュニケーション(UC)用の新しいユーザーインターフェース(UI)である「Avaya Flare Experience」を発表しました。このFlareはアバイアのUC戦略上、大変重要な役割を担っているそうですが。

シニョーレ 現在のオフィスは、UCの環境が整備されているとは決して言えません。基本的なコミュニケーション手段は電子メールですが、リアルタイムでのコミュニケーションが図れないメールは、コラボレーションを主目的に設計されていません。ですから皆さん経験があるかと思いますが、メールを使って複雑な問題を複数の人間で解決しようとすると、とても非効率に終わってしまいます。

では、複数の人がコラボレーションするのに適したツールには何があるでしょうか。その1つにインスタントメッセージ(IM)がありますが、IMでは目的の相手がつかまらなかったとしましょう。そこで「なら、電話をかけよう」となると、今開いていたIMのコンタクトリストではなく、別の電話帳を開かないといけません。同じように、電話中に「電話では不十分だから、ビデオ会議にしよう」となると、今度はビデオ会議のコンタクトリストが必要になります。このように現在のところ、これらのツールのディレクトリはまったく統合されていないのが実態であり、この点こそがコミュニケーションにおける一番の課題であると我々は気が付きました。それで、Flareによって共通のディレクトリを提供することにしたのです。

Flareでは、OutlookやIBM Sametimeなど会社で通常使われているディレクトリであれ、SkypeやFacebook、Linkedinなどのパーソナルなディレクトリであれ1つにマッシュアップし、統合された形で利用できます。Flareなら本当に指1つで、いろいろなディレクトリに登録された相手に対して、電話やビデオ会議、IM、電子メールなど的確なメディアを使ってコミュニケーションできるのです。

Avaya Flare Experience
ビデオ、音声、IM、メール、SNS等の統合UIである「Avaya Flare Experience」。コンタクトしたい相手を画面中央にスワイプするという直感的操作などが特徴だ。対応端末は現在のところ、同社のデスクトップ用ビデオ会議端末「Avaya Desktop Video Device」(写真)のみだが、今年秋にはiPadとWindows PCにも対応予定。さらにAndroid系タブレットへの対応なども計画されている

――Flareという単一のUIから、複数のディレクトリ、複数のメディアを統合的に扱えるというわけですね。インフラ側の統合はどのように実現されているのですか。

シニョーレ 我々は、UCソリューションを3つのレイヤにおいて提供しています。インフラの「Avaya Aura」、UIのFlare、そしてSAPやSalesforceなどのアプリケーションとの連携をWebサービスにより実現する「Avaya Agile Communication Environment(ACE)」です。

このうち我々のコアプラットフォームとなっているのがAuraです。Auraでは電話、ビデオ、IMなど、さまざまなモードの通信ソリューションを単一のアーキテクチャでサポートできるだけでなく、コントロールポイントの一本化にも成功しています。SIPをサポートするアプリケーションであればAuraと接続できるため、従来ですと別々に持つ必要があった音声系やビデオ系などのシステムを容易に統合できるのです。

ただ残念ながら、以前は実際のエンドユーザーがこのAuraの強みをフル活用できる状況にはありませんでした。しかし、Flareが登場した現在は違います。我々は、業界初の“真のUC”を実現できたと考えています。

月刊テレコミュニケーション2011年2月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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エンツォ・シニョーレ(Enzo Signore)氏

アバイアのUCポートフォリオ全域にわたる製品戦略および市場開拓戦略を統括。2010年のアバイア入社以前は、通信部品メーカーのJDS Uniphase Corporation(JDSU)のバイスプレジデント、シスコシステムズのシニアディレクターなどを歴任。トリノ工科大学でテレコミュニケーションおよびコンピューター・サイエンスの修士号を取得し、首席で卒業

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