「勤務場所は自宅を基本とし、オフィスに出社する場合は『出張扱い』にする」─。NTTが7月に導入した新たな働き方制度は、世間で大きな話題を集めた。
これほど思い切った改革に踏み切るのは少数派だが、新型コロナウィルス以降、多くの企業が従来の働き方を見直している。コロナ収束の見通しが立たないことに加えて、数年前から続いてきた「働き方改革」の流れから、テレワークあるいは従来のオフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークといった柔軟な働き方へと本格的にシフトしつつある。
新しい働き方に合わせて、オフィスの「電話」の見直しも加速している。
日本企業では長らく、代表番号に着信した電話を手の空いている人が取り、担当者に保留・転送するという電話文化が続いてきた。コロナ禍においても、オフィスにかかってくる電話に対応するためだけに交代で出社するという光景が見られた。しかし、テレワークやハイブリッドワークが常態化する中で、自宅やサテライトオフィスで会社宛ての電話を受けられるようにすることが必要となっている。
そのための方法として、代表番号への着信を担当者のスマートフォンに転送するサービスがある。オフィスの電話問題を解決する手っ取り早い方法だが、担当者は電話対応に追われてしまい、他の業務に支障を来たすことが避けられない。しかも、私用端末だと折り返しの際は自らの電話番号で発信することになり、相手に番号を知られるリスクがあるほか、通話料が個人負担となる問題もある。
これらの問題を解決するものとしては、スマホ内線がある。
スマホ内線には、①通信事業者が提供するFMC(固定電話と携帯電話の融合)サービスを利用する方法と、②PBXの内線端末としてスマホを収容する方法に大別される。
①のFMCサービスは、会社が一括して通信事業者と契約するので、会社支給端末に適する。
②のスマホ内線は、オフィスにかかってきた外線電話に応答して保留・転送したり取引先への電話をオフィスの外線電話番号で発信することができる。加えて、離れた場所にいる社員とは内線通話を行うことも可能だ。クラウドPBXを活用するほか、既設のオンプレPBXにも、この機能を備えた製品が多い。
スマホに内線アプリをインストールして内線化するため、従業員の私用スマホも活用できる。