通話録音や医療・福祉向け機能が充実した日立のビジネスホン「integral-E」

日立製作所は2010年12月、IP対応ビジネスホン「integral-E」の機能エンハンスを実施した。新機能および改善された機能は合わせて約20項目に及ぶ。今回の機能強化について、情報・通信システム社の通信ネットワーク事業部企業ネットワーク本部企画部、中嶋基博技師は次のように語る。

「もともとintegral-Eには、従来からのビジネスホンの機能を改善することのほか、通話録音機能の充実と、外部機器との連携で電話の良さを引き出すという大きなテーマがあった。エンハンスも、そこに重点を置いた」

通話録音については、まず、自動通話録音を行う際に、録音する旨のメッセージを予め相手に伝える「予告アナウンス」機能を加えた。

もう1つの強化の目玉は「戻って録音」機能だ。通話中にボタン操作を行うと、通話の最初にさかのぼって(主装置側で一時保存してある音声データから)録音できる。必要な通話のみ録音することで、全通話録音を行う場合に比べてメモリを効率よく使える。中嶋氏によれば、integral-Eの通話録音機能を利用しているユーザーからの要望を反映し、この2つを追加したという。このほか、簡易CTI機能なども新搭載されている。

integral-E integral-E
日立製作所「integral-E」の主装置(左)と電話機

医療・福祉施設向けの機能を強化

外部機器連携の強化ポイントは次の3つだ 1つ目は、アイコム製無線機と内線電話機との連動だ。電話機からの無線機呼び出しと、無線機と電話機の一斉呼び出しが可能になった。無線機は事業所用PHSよりも普及しており、例えばプラントや建築現場、アミューズメント施設などで多く使われている。アイコム製品の販路とも協調しつつニーズを掘り起こしたいという。

2つ目は、ナースコールシステムとの連動だ。従来、同社のIP-PBX「MXシリーズ」「CXシリーズ」で可能だった機能で、ビジネスホンでも利用したいとの要望が多かったため対応したそうだ。さらに事業所用PHSと組み合わせることで、大きな業務効率化が図れるという。

3つ目はインターホン連携。これも、介護・福祉施設などをターゲットに想定したもので、図表のように埋め込み型のインターホン子機とPHS端末を使い、入居者からの呼び出しに対してスタッフが効率よく対応できる「スタッフコール」ソリューションを中小老人ホームなどへ提案する。

図表 「スタッフコール」の利用イメージ(介護施設など)
図表 「スタッフコール」の利用イメージ(介護施設など)

福祉施設などでは入居者対応の仕組みとして、簡易なナースコールシステムや、ファミレスなどで用いられている電光掲示板式の呼び出しシステムを使う例が多いという。前者はコストが高く、後者は価格こそ安いが通話ができないなどの不便が伴うが、この中間を狙ったのが日立のintegral-Eである。ビジネスホンの付加機能として導入できる低コストなシステムとして、日立ではアピールしていくという。

月刊テレコミュニケーション2011年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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