これからのスマートシティ/スーパーシティは、AIとビッグデータの活用が深化していく。電力・水道、交通等の社会インフラや建物等から集められる膨大なセンサーデータを収集し、また、カメラ映像のような大容量データを都市の高度化に役立てるには、これを支える高性能かつ大容量のワイヤレスネットワークが不可欠だ。
その点でキーポイントとなるのが高周波数帯、つまりミリ波である。5Gとローカル5Gにおいては、普及が遅れている28GHz帯の展開・活用が求められる。また、5G 基地局やWi-Fiアクセスポイントのバックホールとして使える60GHz帯無線LANもスマートシティネットワークの構築において有用な通信技術だ。
最優先課題はミリ波の普及
5G/ローカル5Gについては現在はSub6帯が主流だが、5Gの能力を最大限に引き出すには、超高速大容量通信を可能にするミリ波の展開・活用が不可欠となる。GSMAの調査では、通信量の多い場所でミリ波とSub6帯の両方を利用できれば、Sub6帯のみの場合に比べてTCO(総保有コスト)は最大で35%削減できるという。
また、2025年までに主要都市でSub6帯の容量が枯渇するとの予測もあり、スマートシティで活用されるデータ量の増大に対処するには、高周波数帯の活用が欠かせない。
また、基地局とコア網を結ぶバックホールやFWA(固定ワイヤレス通信)サービスにミリ波が使えれば、5G基地局の展開が容易になり、デジタルデバイドの解消にも役立つ。商用サービスが始まったStand Alone(SA)方式とミリ波を組み合わせれば、XRのような大容量かつ超低遅延通信を必要とするアプリケーション/サービスの創出・普及にも勢いが付くはずだ。
光ファイバーに匹敵する高速通信が可能な60GHz帯無線LAN「IEEE802.11ad/ay」も、スマートシティでぜひ活用したい無線技術だ。無線アクセスのバックホールに使うことで、スマートシティネットワークの展開・整備を迅速化し、柔軟性を高めることができる。
光ファイバーの敷設が困難な建物間や道路をまたぐ場所をつなぐ際や、Wi-Fiとの干渉を避けて安定したワイヤレスバックホールを作る場合には、免許周波数帯である4.9GHz帯も使われてきたが、60GHz帯には免許不要でより簡便に導入でき、かつ、4.9GHz帯よりも高速大容量通信が可能になる利点がある。免許不要帯とはいえ、使用する無線システム自体が少ないため、安定性も担保できる。