日本でも2021年末から企業向けに提供が始まった5G SAサービス。間もなくコンシューマー向けサービスも始まるが、私たちはどんなかたちでSAを使えるようになるのか。その答えは、「SA対応端末」の機能と登場時期を整理することで、よりわかりやすくなる。
SAへの移行は、インフラ整備と並行して端末側でも進んできている。スマートフォンや企業向けルーター等(CPEや通信モジュール)にSAを利用するための機能が実装されてきた過程を示したのが、図表1だ。
図表1 商用5Gデバイスの市場投入時期
SAはLTE設備に依存せずに5G基地局と5Gコアのみで通信する。つまり、インフラ構成はシンプルだが、反面、NSAとの混在環境において高いユーザーエクスペリエンス(UX)を実現するため、端末側の機能は複雑になる。
“使えるSAスマホ”は今夏から
SA端末はNSA方式もサポートする。5Gエリア外に出た場合、4G接続へ速やかに移行(フェイルオーバー)するためで、この点はNSA 時代と変わらない。NSAとSAの両方に対応した端末は2020年時点で登場しており、SAのインフラさえ整えば「SA接続」を有効化することは可能だ。
ただし、商用のSAサービスで利用するには、5Gコアとの相互接続試験が必要で、ノキアの柳橋氏によれば「既存の端末をSAにアップグレードするための移行パスが提供されているケースはほとんどない」。クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズ マーケティング シニアディレクターの根本健二氏も、「SA対応スマホは2022年夏モデルからか」と予想。「最初はNSAで使い、インフラが整い次第SAにする端末が出てくるだろう」と話す。
クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズ
マーケティング シニアディレクター 根本健二氏
5Gで音声通話を行うVoNR(Voice over NR)の機能を備えた端末もすでにあるが、SAのカバレッジが十分に広がらなければ有効に使えない。VoNRの商用化には時間を要するだろう。
SAの目玉であるネットワークスライシングについては、3GPPが規定した標準仕様で、1端末あたり最大8つのスライスをアプリケーションごとに使い分けられるようにしている。例えばNetflixは高速大容量(eMBB)スライスで視聴し、クラウドゲームを超低遅延高信頼(URLLC)スライスで楽しみ、仕事では帯域保証型のスライスで業務用アプリを使うといったことが可能になる。