キーパーソンが語る

「AIの民主化を5G融合で実現」、米エヌビディア通信事業責任者が語る5G戦略

聞き手◎太田智晴(編集部) 2021.10.12

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米エヌビディア
通信事業担当シニアバイスプレジデント
ロニー・ヴァシシュタ氏

AIのリーダー企業の1社、エヌビディアが5Gインフラ市場への攻勢を強めている。巨大マーケットだからだけではない。エヌビディアが最大の目標とする「AIの民主化」は、AIと5Gの融合によって実現すると見るからだ。通信事業担当シニアバイスプレジデントを務めるロニー・ヴァシシュタ氏に、エヌビディアのAIおよび5G戦略を聞いた。


――AIが社会を劇的に変化させていこうとしているなか、AIのリーディングカンパニーの1社であるエヌビディアの動向には高い関心が寄せられています。エヌビディアは今、どのような戦略のもと、ビジネスを推進しているのでしょうか。

ヴァシシュタ AIは極めて革命的なテクノロジーであり、私たちの生活や社会のあり方を大きく変えていきます。すべての企業のこれからの進化の中核にあるのがAIと言えるでしょう。

ただ過去10年ほどのAIは、どちらかというとデータセンターを中心に展開されるテクノロジーでした。しかも、その主役は、グーグルやアマゾン、マイクロソフトといった巨大な企業たちです。

ところが現在は、状況が変わっています。大規模な工場だったり、エッジデータセンターにおいても、AIが非常に多く使われています。今後さらに様々な分野へとAIは展開されていくでしょう。

エヌビディアの最大の目標は「AIの民主化」です。すなわち、AIを誰でも使えるようにすることです。AIは、一部の巨大企業だけのものではありません。

――AIの民主化を進めるにあたっては、どんなテクノロジーがカギを握りますか。

ヴァシシュタ 何より重要なのは、Software-Definedのテクノロジーです。クラウド、エンタープライズのデータセンター、あるいはネットワークエッジなど、あらゆる場所でAIを使えるようにするために必要だからです。Software-Definedのテクノロジーにより、どのような形態であっても、ハードウェアから独立した形でハイパフォーマンスなAIを利用可能になります。

――AIと5Gの関係については、どのように見ていますか。エヌビディアは最近、「AI-on-5G」というメッセージを打ち出しています。

ヴァシシュタ AIは3つのコンポーネントで構成されています。1つめはアプリケーション、2つめはコネクティビティ(接続性)と演算処理、そして3つめがセンサーです。

このなかにあって、コネクティビティの中核を担うのが5Gです。

5Gで一体何が変わるでしょうか。例えば現在、有線・無線で100~200個のセンサーがつながっている自動車工場があるとしましょう。5Gが具現化することで、5000~1万超のセンサーを接続できる状況になります。5Gにより、ありとあらゆるモノがAIに接続できるようになるのです。AIと5Gは、製造業をはじめとする様々な業界に革命的な変化をもたらすでしょう。そこでエヌビディアはAIと5Gの融合、AI-on-5Gに最も注目しているのです。

――近年エヌビディアは、メラノックステクノロジーズやCumulus Networksの買収など、ネットワーク領域の強化に注力してきましたが、AIと5Gが一体化していく将来に向けた布石だったのですか。

ヴァシシュタ はい、その理解で結構です。

 

米エヌビディア 通信事業担当シニアバイスプレジデント ロニー・ヴァシシュタ氏


通信事業者の2つの課題解決――AIと5Gが融合していくとすれば、通信事業者の目の前には大きなチャンスが広がることになりますが、そのチャンスを掴むうえで、通信事業者はどのような課題を乗り越える必要がありますか。

ヴァシシュタ 通信事業者は常に2つの課題を抱えてきたと思います。1つは、ネットワークインフラに掛かるコストをいかに最適化していくかという課題です。

非常に膨大な設備投資を行い、基地局を整備するわけですが、その投資が何のために使われるかというと目的はただ1つ、コネクティビティだけです。しかも、基地局の稼働率は、全体で見ると25%程度しかありません。

もう1つは、ネットワークインフラの上で提供できる価値をいかに向上させていくか、という課題です。

この2つの課題は、次のように解決していけると考えています。まずは私たちのテクノロジーを搭載したNVIDIA認証サーバー上に5G基地局を展開し、業界標準の機器を使用することで膨大なコストを削減します。そして、その上でAIも展開するのです。

NVIDIA認証サーバー上に基地局を展開すれば、単にコネクティビティを提供できるだけではありません。すべての基地局が「AIデータセンター」にもなります。基地局がSoftware-Definedになることで、基地局はAIアプリケーションと5Gのコネクティビティを同時に提供できるデータセンターへと変貌するのです。エヌビディアが提供しているハードウェアは、すべて5Gに対応できます。

――AI-on-5G、すなわちvRAN(virtual Radio Access Network)のインフラ上でAIサービスも提供することで、ネットワークインフラのコスト最適化と価値向上を同時に実現できると。

ヴァシシュタ 私たちの観点から言いますと、インフラ上で提供できる価値の向上を、AI-on-5Gの第一の目標に据えています。

これに加えて、AI-in-5Gという言い方をしていますが、ネットワーク運用の最適化にAIを活用する提案もしています。
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著者プロフィール

ロニー・ヴァシシュタ(Ronnie Vasishta)氏

2020年10月にエヌビディアの通信事業の責任者として入社。エヌビディア入社前はインテルに在籍し、データ製品グループのネットワークおよびコンフィギュラブル ロジック部門の部長、事業本部長を兼務。インテル入社以前は、eASICコーポレーションのCEOを務め、買収を機にインテルに入社。また、ここ数年、複数のスタートアップ企業やベンチャーキャピタル企業の顧問に就任している
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