<特集>働き方のミライへ - コロナ危機を越えてここまで来たVR/AR/MRで業務改革 現場カイゼンに強い味方

人材不足等の課題解決に向け、VR/AR/MRの業務活用が加速的に広がっている。現実世界と仮想空間を融合させるAR が様々な現場に浸透する一方、ロボットと人の協働にVRを活用する動きも始まっている。

「建築、製造、医療分野で先行し、続いて教育や小売、防衛などの分野にも広がっている」

2017年1月にMR(Mixed Reality)デバイス「HoloLens」をリリースし、業務用途を開拓してきた日本マイクロソフト。その進捗状況について、Mixed Reality Marketing プロダクトマネージャーの上田欣典氏はそう話す。MRとは、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)を包含する概念だ。現実世界とデジタル情報を融合した空間を作る技術を指すもので、ユーザーの目の前にある現実世界をキャンパスとして、その上に3Dのデジタル情報を表示する。

日本マイクロソフト Mixed Reality Marketing プロダクトマネージャー 上田欣典氏
日本マイクロソフト Mixed Reality Marketing プロダクトマネージャー 上田欣典氏

このMRは、我々の生活や仕事においてスマートフォンが起こした以上の変化をもたらすと上田氏は強調する。「スマホは確かに便利だが、非常に小さな画面でしかデジタルの恩恵を受けられない。MRなら、現実世界すべてをキャンパスとして、デジタル情報を効果的に扱える」からだ。

実際の業務現場でどのように活用されているのか。まず、国内のHoloLens活用例を見ながら、その浸透度を見ていこう。

トヨタがMR整備を全国展開へ使い方は3つに分けられる。

1つがデータの可視化だ。デジタル情報を現実空間に表示する、ARの最も基本的な使い方である。製品設計や空間デザイン、教育、医療など幅広い業種で活用が進んでいる。

一例が、トヨタ自動車の修理・点検業務での活用だ。これまで整備士が参照していた作業手順書・修理書を3D化。HoloLensを装着した整備士がクルマの前に立つと、写真①のように、作業する部位の上に作業手順が3D表示される。車種ごとに異なるマニュアルをすべて用意する必要がなく、また、両手で作業しながら情報を得られるのがメリットだ。

トヨタ自動車は整備業務にMRを活用

【写真①】トヨタ自動車は整備業務にMRを活用。作業手順書をエンジン等の部品上に3D表示する。
実際には見えないダッシュボード裏のワイヤーハーネスも3D表示することで(左下)、
紙のマニュアルを見るよりも直感的に作業のポイントを理解できる(画像提供:日本マイクロソフト)

これにより、経験の少ない整備士でも質の高い作業が可能になる。さらに、ベテラン技術者でも整備が難しいハイブリッド車の作業効率もアップ。作業品質の向上と技術の標準化につながっているという。

トヨタは今年、この仕組みを販売店にも展開する予定だ。

月刊テレコミュニケーション2020年5月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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