ソフトバンクがAnsibleで働き方改革――サーバー証明書の更新を最速20秒で!

半分のコストで2倍の成果を出す――。ソフトバンクは2015年頃、働き方改革で4倍の生産性を目指した。この目標達成のため、ネットワーク部門は内製ツールを開発したがうまくいかない。切り札になったのが「Ansible」だった。

「何もしなかったら、確実に破綻することが目に見えていました」

ソフトバンクは2019年4月にガートナーが開催した「ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンスサミット」でレッドハットと共同で「ソフトバンクの取り組みから紐解くIT自動化ベストプラクティス」と題した講演を開催した。

ソフトバンクは2015年ごろから「Half&Twice」というテーマで働き方改革に取り組んでいる。半分(Half)のコストで2倍(Twice)の成果を出す。つまり4倍の生産性を実現しようとした。冒頭のコメントは、ソフトバンクのネットワークを管理する前田高尚氏の「Half&Twice」が始まった際の所感だ。

ソフトバンク 前田高尚氏
ソフトバンク 前田高尚氏

2万台/200種類以上の機器そもそもソフトバンクのネットワークはどういう状態だったのか。「インフラの特徴はまず大規模。M&Aで大きくなった会社でもあり、業務が全然違うので統合できない。システムは800ほどで、ネットワーク機器が2万台、機種数は型番ベースで200種類以上あった」と前田氏は説明する。

ツールの内製だけでは破綻する各ネットワークがバラバラに運用されている状態だったが、裏を返せば自動化の余地が大きく残っている。前田氏は最初、ツールを内製して自動化を試みた。工数の多い業務を優先し、ファイアウォール(FW)を自動運用するツールと、ネットワークの論理情報を取得する2つのツールを作成した。

だが、結果として内製ツールによる自動化は失敗に終わる。ツール自体の完成度は高く、現在も使われているが、「多くの課題を残してしまった」と前田氏は反省している。

前田氏の分析では、課題は5つあった(図表1)。特に問題だったのは、ツールの開発に必要な知見はネットワークエンジニアの専門から遠く、学習コストが高くなることだ。「ネットワークエンジニアは基本的にプログラミングやDB等の領域は得意ではない。ツールも学習を繰り返して開発した。個人では開発できてもチームで開発できない」(前田氏)。

学習コストが高いと他の領域への応用も難しい。運用にも、ツールの仕組みを理解できるエンジニアが必要になり、属人化してしまう。

図表1 社員による内製ツール開発であたった5つの課題
図表1 社員による内製ツール開発であたった5つの課題

また、学習期間が長くなることで単純に自動化が遅れる。「ネットワーク業界にはシスコシステムズ、ジュニパーネットワークス、アリスタネットワークスなど複数のメーカーがあり、それぞれの機器で自動化をしなくてはならない。200機種すべからずやるというのは大変だ。結局、自動化をこのまま続けてもどこかで破綻する」と前田氏は話す。

月刊テレコミュニケーション2019年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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