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sXGPは病院で問題なく利用できる――埼玉医大で実証試験

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2019.06.20

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埼玉医科大学で行われた実証試験で、sXGPが自営PHSと同様、医療機器への影響を回避して使えることが示された。データの裏付けを得たことで、医療機関へのsXGP導入に弾みが付きそうだ。

 
埼玉医科大学は、2018年11月から滋慶医療科学大学院大学(大阪府大阪市)とビー・ビー・バックボーン(以下、BBバックボーン)と共同で、sXGPの電波が医療機器に及ぼす影響に関する調査を行い、1月に報告書を取りまとめた。

調査を監修した滋慶医療科学大学院大学の加納隆教授は「sXGPが医療機関で自営PHSと同様に利用できることを確認した。将来は通話だけでなく、医療IoT分野でも活用されるのではないか」と期待を寄せる。

携帯電話などの無線機器は、医療機器を誤動作させる可能性があるとして、医療機関での利用が制限されてきた。2014年、総務省や厚生労働省が参加して電波環境協議会(EMCC)で「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」(以下「指針」)が策定されたのを機に、病院での携帯電話利用が許容されるようになった。とはいえ、手術室など重要な医療機器が置かれている場所では、依然として携帯電話の利用を禁じている施設が多い。

こうした場所の制約を受けずに、医療スタッフの連絡手段として用いられている無線機器に、自営PHSがある。自営PHSは携帯電話よりも送信出力が小さく医療機器への影響が少ないとされているが、2020年の公衆PHSサービスの終了に伴い、今後調達が難しくなると見られている。

今回の調査は、自営PHSの後継として開発されたsXGPが、医療機関で本当に利用できるかを検証したものだ。

実証試験に用いられたsXGPアクセスポイント、手前の簡易型のEPCと接続してデモ環境を構築した
実証試験に用いられたsXGPアクセスポイント。
手前の簡易型のEPCと接続してデモ環境を構築した


高度医療機器37機種を検証実証試験は、埼玉県日高市の埼玉医科大学保健医療学部の実習室および同大学関連医療施設で、Accuver製のsXGPアクセスポイント(AP)に簡易型EPCを接続したデモ環境を用いて行われた(図表)。

 

図表 実証試験の測定環境[画像をクリックで拡大]
図表 実証試験の測定環境


検証では、このAPに接続されているsXGP(LTE)スマートフォンを医療機器に接触するまで近づけ、影響の有無・程度、異常が生じた(復旧した)距離などのデータを収集した。測定時にはAPを遮蔽性のある布で覆い、遠距離通信環境を模擬して端末の送信出力を最大値の100mWとした。

検証を行った医療機器は、不具合が生じた場合に患者の生命に危険を及ぼす可能性がある「高度管理医療機器」で、汎用輸液ポンプや注射筒輸液ポンプ、血液浄化装置、人工呼吸器、体外式ペースメーカー、閉鎖循環式定置型保育器など8種類・37機種が用意された。

「かなり網羅性の高い検証が行えたと考えている。特に停止すると直接命に関わる人工呼吸器は10機種と幅広く調査した」と加納氏は語る。

実証試験では、薬液を体内に注入する汎用輸液ポンプと注射筒輸液ポンプそれぞれ1機種で、「復旧には機器の操作が必要となる」レベルの影響(影響評価基準の「カテゴリー4」)が生じた。

具体的には、注射針の詰まりなどで薬液が送れなくなった際に警告する「閉塞アラーム」が誤作動し機械が停止する事象が、汎用輸液ポンプで5cm(内蔵電池では7cm)、注射筒輸液ポンプでは2cmまでsXGP端末を近づけた場合に発生した。

実証試験では通信中のsXGP端末を接触するまで医療機器に近接させ、影響の有無、発生する距離などを記録した
実証試験では通信中のsXGP端末を接触するまで医療機器に近接させ、
影響の有無、発生する距離などを記録した



また、血液浄化装置と閉鎖循環式定置型保育器のそれぞれ1機種で、前者が20cm、後者では3cmまでsXGP端末を近づけた場合、確認音やガイダンスを流すスピーカーから異音が出る事象が生じた。影響の程度は、機能自体には支障がなく端末を離せば復旧するレベル(カテゴリー2)である。残りの33機種では、影響は認められなかった。
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