「Bluetooth 5.1スマホは2019年中にも」 Bluetooth SIGのカイ・レン氏

2019年1月に発表された新コア仕様「Bluetooth 5.1」の目玉が方向検知機能だ。位置情報サービスの活用範囲を大きく広げる可能性がある。早ければ2019年中にも対応デバイスが登場しそうだ。

――Bluetooth 5.1(以下、v5.1)の特徴を簡単に説明してください。

レン 最大の特徴は「方向検知」機能の追加です。Bluetooth信号の送信角度または受信角度を基に、デバイスがどの方向にあるのかを判定できるようになります。

これまでBluetoothを使った位置情報サービスでは、信号の強度だけで2つのデバイスの間の距離を検知していました。その使い方には大きく分けて「近接通信ソリューション」と「測位システム」がありますが、方向検知が加わることによって使い方が広がり精度も向上します。

――近接通信とは、スマートフォンを持つ人がビーコンに近づくと情報を通知するといった使い方ですね。

レン そうです。店舗等にBluetoothビーコンのロケーターを設置し、近づいた人のスマホにセール情報や電子クーポンを送る、空港で搭乗ゲートや時間の変更を伝えるといった用途で使われています。また、鍵や財布にBluetoothのタグを取り付けておいて、無くしたときに探せるスマホアプリや、倉庫内でタグを付けた物品の保管場所を探すソリューションなどがあります。

信号強度による距離の計算だけだった従来の近接通信では、探しものに“近づいた”ことしか分かりませんでしたが、v5.1では“どの方向にある”かもわかるようになります。

もう1つの測位システムは、3つ以上のロケーターがスマホやタグと通信し、三辺測量によって位置を特定するものです。これも、対象物の方向がわかれば、より正確に位置が特定できます。従来はメートル単位だった測位精度が、センチメートルレベルに向上します。

「期待以上」の20カ月――かつてはPC/スマホの周辺機器や、オーディオデバイスのイメージが強かったBluetoothですが、2017年のBluetooth Meshの登場を機に、産業向けへと大きく舵を切りました。市場開拓は着実に進んでいますか。

レン Meshの導入で、Bluetoothの業界は大きく転換しました。新興領域であるスマートビルディングやスマートホーム、スマートインダストリー分野への進出が始まったのです。この20カ月の動きは期待以上であり、大いに満足しています。

それまでのBluetoothは1対1または1対多通信(Bluetooth Low Energy)をサポートしていましたが、Meshで多対多の通信が可能になり、多くの企業が“Bluetoothでこんなこともできるのか”と気づきました。様々なソリューションが生まれ、SIGが認証しているものだけでもすでに120種のMesh対応プロダクトが存在しています。ABIリサーチは、2022年には年間5億2000万のデバイスが出荷されると予測しています。

――ソリューションの具体例を教えてください。

レン ビーコンを使ったシナリオを例に挙げましょう。

従来の使い方は、先ほど述べたように、店の入口等にビーコンを置いて情報を伝えるというものでした。

Meshの登場後は、ビル内にある多くの照明やブラインドをMesh対応にして、これらでメッシュネットワークを構築するという使い方が増えてきました。照明のオンオフや光量調整、ブラインドの開閉をスマホからコントロールできるようになるほか、一部の照明をビーコンとして動作させることも可能です。位置情報サービス専用にビーコンを用意する必要はありません。また、ビーコン情報のアップデートをMesh通信で行える利点もあります。

月刊テレコミュニケーション2019年5月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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