企業ネットワーク最前線

ドローンで空からエリア構築――携帯ネットワークの災害対策

文◎村上麻里子(編集部) 2019.03.25

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

全国各地で自然災害が相次いでいる。スマートフォンは被災地でも重要な役割を果たすだけに、通信の途絶は許されない。災害時のネットワーク対策として、次世代技術であるドローン活用の検討が進んでいる。

 
いつどこにいても台風や地震などの自然災害と隣り合わせの「災害大国」日本。時代が変わり科学が発達しても、災害そのものを防ぐことは困難である以上、被害を最小限に抑える取り組みが必要だ。

電気や水道、ガスと並ぶライフラインの1つである通信も、災害に負けない強靭なインフラ作りが至上命題であることは言うまでもない。基地局が被災すると、電源が消失したり、伝送路に使われている光回線が断絶することがある。電源については予備のバッテリーを基地局に常備しており、光回線については代替策として衛星回線を用意するなど、携帯キャリア各社は対策を取っている。

ただ、東日本大震災のように想定を上回る大規模災害が起きれば、エリア内の基地局の大半が損壊してしまい、広範囲にあるいは長時間にわたりつながらなくなることが避けられない。そうした場合でも早期にエリアを復旧できるよう、各キャリアは様々な取り組みを行っているが、なかでも期待を集めているのが次世代技術の1つであるドローンの活用だ。

ドローンは災害時の基地局のほか、雪山の遭難者の捜索への活用が期待される
ドローンは災害時の基地局のほか、雪山の遭難者の捜索への活用が期待される


上空150mの高さに強み小型軽量で、しかも無人で飛行することができるドローンは、災害時に陸上や海上から携帯電話サービスの提供が困難になった場合、上空から電波を放射し一時的にエリアを構築する役割を担う。

KDDIは、ドローンに小型・軽量化した携帯電話基地局システムを搭載した「ドローン基地局」の実証実験を2017年12月に行った。

ドローン本体に小型・軽量化した携帯電話基地局システム(無線設備・モバイルコア設備)を搭載し、単体で携帯電話のエリアを構築、携帯電話サービスの一部機能を提供するというものだ。同システムの移動管理機能により、携帯電話から発信する電波を捉えることで対象エリア内の在圏状況も確認できるため、救助要請や捜索活動への活用も期待されるという。

NTTドコモは、ドローンに専用の小型中継局を搭載し、周辺で機能している基地局からの電波を上空で捉え、リピーターで中継して臨時のエリアを形成する「ドローン中継局」の実用化に取り組んでいる。

基地局が損壊して携帯電話サービスが中断した地域の救済策として移動基地局車があり、ドコモでは全国各地に配備している。ドローンは可搬性に優れており、被災地の地盤の影響を受けないので、土砂崩れなど移動基地局車では対応が難しい状況でも迅速な復旧を実現できる。また、「上空150mまで上げられるため基地局からの電波をキャッチしやすいうえ、効率良く広範囲に電波を吹けるメリットもある」とNTTドコモ 災害対策室 室長の小林和則氏は話す。

NTTドコモ 災害対策室 室長 小林和則氏
NTTドコモ 災害対策室 室長 小林和則氏



反面、課題もある。搭載できるバッテリー容量に制約があり、飛行時間は20分程度に限られてしまうのだ。長時間の連続飛行を可能とするため、ドコモは地上の電源と有線で接続して給電する方法を検討している。

このようにドローンは携帯電話ネットワークの災害対策として有効だが、現行の法制度では陸上無線として利用することは認められておらず、現状は実証実験にとどまっている。実用化には法制度の改正を待つ必要があり、時間がかかると見られる。

このためドコモでは当面、災害時の現地の状況確認としての用途を想定している。道路の寸断などで人が基地局に近付けない際の状況把握にドローンを活用していく考えだ。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

NTTコムウェア1906
ciena1906
kccs1904

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】キャリアネットワークの
   メガトレンド
●5Gを4つのキーワードで解説 ●通信インフラは「共有」する  ●基地局は持ち運ぶ時代へ ●ネットワーク機器の機能分離が加速 ●ゲームチェンジの引き金を引くO-RAN ●5G網はSRv6で一筆書き

●[インタビュー] クアルコムジャパン 須永順子社長「5Gの1年前倒しに大きな意義。ローカル5Gを工場へ積極提案」 ●スマホ内線化で働き方を変える ●埼玉県飯能市が“IoT罠”で獣害対策 ●ネットワン「サブスク拡大」の理由 ●IoTを導入しない企業は5年以内に脱落? ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

インテルキャリア網もクラウドネイティブへ
5G革命を推進するインテル

インテルが5G時代の新NW実現に向けた取組みを加速させている。

エクストリームネットワークスWi-FiとIoTをAIが自動で管理
10万人のスタジアムに搭載

「Smart OmniEdge」がネットワークエッジのトラブルから解放する!

NTTコミュニケーションズeSIMを本格提供! 垂直統合で企業のIoT活用を支えるNTT Com

国内MVNO初のリモートプロビジョニング対応eSIMサービスも提供開始

サクサキャリア網の利用で高い通話品質
スマホ2台までお試し導入も!

サクサのビジネスホンなら、スマホ内線が途切れない! 使い勝手も◎!
NTTコムウェアスマホ内線で高い通話品質を実現!

交換機開発のノウハウを活かしたNTTコムウェアのクラウドPBXは、高い安定性や優れた通話品質が特徴

日本シエナコミュニケーションズ光伝送網の能力はもっと引き出せる
目指すは“どこでも400G”の世界

シエナが1波800Gbps伝送を可能にする新世代チップを発表した。

KCCS加速し続けるSigfoxの「今」
人口カバー率は94%を突破

グローバルでも年末には70カ国・1300万回線に拡大見込みだ。

専門人材が24/365で対応するMSS
最新鋭のSOCで途絶なく脅威を監視

次世代FWなどのセキュリティ機器は「設置しておしまい」ではない。

ケーエムケーワールド最大2.7Gbpsの次世代FW
100名以下の企業で採用が増加!

NISG3000は様々なセキュリティ対策が詰まったオールインワン型

ジュニパーネットワークス"クラウドが遅い"をSD-WANで解消
ブレイクアウトの課題とは?

クラウドの「体感品質」にフォーカスしたジュニパーのSD-WAN

シングテル海外拠点網“SD-WAN化”の注意点とは?

グローバルキャリアに聞く回線選びの重要性

ソニービズネットワークス“ひとり情シス”でも心配なし!
SD-WAN始めるならマネージド型で

SD-WAN導入に悩みを抱えるIT担当者に最適なマネージドSD-WAN

マクニカネットワークス高精度にアプリ識別可能なSD-WAN
速度も最大10倍以上に高速化

Silver PeakのSD-WANは「正確で速い」という強みを持つ。

ハカルプラス後付け簡単&低コスト! 5km飛ぶLoRa無線機で始める設備のIoT化

IoT導入時のハードルをぐっと下げる、ハカルプラスの「LoRa無線機」

アクセスランキング

tc1904
kaden
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます