見えてきた新自営無線「sXGP」の実力――NECと富士通がフィールド試験を開始

LTEスマートフォンを子機として使える新タイプの事業所コードレス用無線システム「sXGP」のフィールド試験が始まった。実際の通信速度などと同時に、ビジネス面での課題も見えてきた。

自営PHSの後継として規格化されたLTEベースの自営無線システム「sXGP」――。そのフィールド試験をNECと富士通が10月からスタートさせた。

大手PBXベンダー5社と提携し、sXGPユーザー向け通信サービスの提供を計画するビー・ビー・バックボーン(以下BBバックボーン)と共同で行っているもので、実システムの構築・運用を通じて置局ノウハウの確立や課題の洗い出しを行い、来春以降の本格展開につなげることが狙いだ。

NECは、玉川事業所(川崎市)の実験棟(4階建て)の3階フロアに試験環境を構築し、機能や通信品質などの検証を進めている。フロアには3台のsXGPのアクセスポイント(AP)を設置。Quortus社製のEPC(コアネットワーク)を介してNECのIP-PBXに接続することで、スマートフォン同士の内線通話を実現している。

スマートフォンには、NECの内線通話アプリ「UNIVERGE ST500」をベースに開発したアプリが搭載されており、内線通話に加えて、業務システムも利用できる。試験に使われている機器のうち、AP(Accuver製)と端末(ZTE製のデュアルSIMスマートフォン)は、BBバックボーンから提供されたもので、いずれも技術基準適合証明を取得済みだ。

Accuver製のsXGPアクセスポイント「SC-120J」
Accuver製のsXGPアクセスポイント「SC-120J」

年明けには、玉川事業所のオフィス棟(ノースタワー)の30階と31階にAPを整備し、社内ネットワークに接続して業務での使い勝手などを検証する計画だという。

NECのトライアルに用いられている内線アプリの画面。右上にsXGPに接続していることが表示されている
NECのトライアルに用いられている内線アプリの画面。
右上にsXGPに接続していることが表示されている

富士通は、新川崎テクノロジースクエア(川崎市)の5階、6階フロアの半分を試験フィールドとして、それぞれ複数台のAPを配置してトライアルを進めている。

試験環境は、富士通の仮想EPCやIP-PBX、BBバックボーンから提供されたAPやスマートフォンと組み合わせる形で構築。スマートフォンには富士通のIP-PBXに対応した内線アプリが搭載されている。

富士通は、ZTE製のスマートフォンに同社のIP-PBX用内線アプリを実装して利用している
富士通は、ZTE製のスマートフォンに同社のIP-PBX用内線アプリを実装して利用している

富士通のフィールド試験で特徴的なのは、BBバックボーンのネットワークを介して携帯キャリア網と試験環境を接続することで、sXGPのエリア外でも、エリア内と同じ使い勝手で利用可能にしている点だ。

試験用のスマートフォンにはsXGP用と携帯キャリア用の2枚のSIMがセットされており、sXGPのエリア外から内線アプリで発信すると、携帯キャリア網経由でIP-PBXに接続。内線通話や「0発信」による外線発信が行える。エリア外で内線を着信することも可能だ。

月刊テレコミュニケーション2018年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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