通信キャリアの課金システムをクラウドで10倍高速化――ある“企業再生請負人”の挑戦

経営不振に苦しむカナダのBSSベンダー、Optiva社(旧Redknee社)。通信業界の外からやってきた“企業再生請負人”は復活をかけて、課金システムのパブリッククラウド化に取り組む。

ターンアラウンドCEO、すなわち“企業再生請負人”としてダニエル・ロイストン氏がOptiva社(旧Redknee社)にやってきたのは2016年末のことだ。

カナダ・トロントに本社を置く同社は、1999年創業のBSS(Business Support System)ベンダーで、通信事業者のビジネスの要である課金システムなどを提供している。90カ国・200以上の通信事業者をサポートしており、顧客リストにはAT&T、O2、シングテル、テレフォニカ、T-Mobile、ボーダフォン、Zainといった名前が連なる。

なぜ、同社は企業再生請負人を必要としたのか。転機となったのは、2つの買収だった。同社は、2013年に旧ノキアシーメンスネットワークスのBSS部門、そして2015年には経営破綻したBSSベンダー、Orga Systems社を買収した。

「この2つの買収によって、我々の売上は大きく伸び、2015年の売上は2億5000万ドルに達しました。しかし、それがピークでした。その後は1年当たり25%の割合で売上が落ち始め、最終的には7000万ドルの赤字を出したのです。会社をオペレーションするためのキャッシュもないという状況にまで陥りました」

通信事業者にとってBSSは非常にクリティカルなシステムだ。「会社の分割や経営破綻がベンダーに起こるとお客様は大変心配し、その行く末を見定めることなく、次の動きをしようとします。課金システムのベンダーをスイッチするとなると大変な時間がかかるからです」

Optivaが買収を行ったのは会社再編や破綻が明らかになって、しばらく経った後。その間、顧客は次々と離れていったという。「そして、そうした我々の状況をお客様がご覧になって、さらに売上の下落を加速させることになったのです」

そこでCEOに就任したのがロイストン氏だ。「Optivaのビジネスを助けるため、8300万ドルを投資する投資会社の立場から私はやってきました。企業再生が私の得意分野、専門分野です」

月刊テレコミュニケーション2018年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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