企業ネットワーク最前線

「802.11ah推進協議会」が56社で発足――Wi-Fi版LPWAの早期解禁目指す

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2018.11.08

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

「802.11ah推進協議会」の発足で、日本でのIEEE802.11ahの実用化に向けた動きが本格化してきた。2019年にはデバイスの供給も始まり、協議会では無線規則の改正に向けて、実証実験をスタートさせる。米国、中国、シンガポール、台湾でも商用化に向けた動きが広がっているという。

 
Wi-Fi版LPWAといえるIoT向け無線技術「IEEE802.11ah」(Wi-Fi HaLow)の日本での利用実現を目指す「802.11ah推進協議会」が、2018年11月7日に都内で設立総会を開き、正式発足した。

802.11ahは、LPWAや無線タグなどで使われている日本の920MHz帯など、1GHzよりやや下のサブGHz帯を用いる無線LAN規格だが、日本ではまだ利用が認められていない。802.11ah推進協議会では来年、実験局免許を取得して実証実験を行い、IoT無線システムとしての優位性をテコに早期の利用解禁を図る。

協議会には、NTT東西、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信事業者をはじめ機器メーカーやSier、大学など56の企業・団体が参加。802.11ahの早期実用化に向けて、技術検討や関係機関への働きかけ、普及促進活動などに取り組んでいく。

総会で会長に選出された無線LANビジネス推進連絡会 顧問の小林忠男氏は、記者説明会で「LoRaWANやSigfox、NB-IoTなどのLPWA技術の中で802.11ahは最後発となる。だが、今は802.11ahをスタートするうえで非常にいいタイミングなのではないか」と述べた。

「先行していると言われるLPWA技術も実証実験を経て、これからビジネスをどうやっていくのかを考える時期であり、課題も見えてきている。その中で802.11ahの優位性を訴求できる」と見るのだ。

802.11ah推進協議会
(左から)802.11ah推進協議会 会長の小林忠男氏(無線LANビジネス推進連絡会 顧問)、
副会長の長谷川敏氏(横河電機)、運営委員の酒井大雅氏(NTT東日本)


小林氏が、802.11ahの利点として強調したのが、「無線LANの唯一のデファクトスタンダードであるWi-Fiのファミリーであり、端末、アクセスポイント、クラウドまでエンドエンドでユーザーが自由にネットワークを構築できる」点だ。

さらに小林氏は802.11ahの仕様面での特徴を説明し、「Wi-Fiに比べ、到達距離は10倍(1km程度)、LPWAに対して伝送速度は10倍以上(1Mbps以上)になる」とまとめた。「日本の920MHz帯で802.11ahが使えるようになれば、既存LPWAの課題の大半を解決できる」という。

もう1つ、小林氏が「いいタイミング」と見る理由が、ここにきて802.11ahのチップセットやデバイスの供給が始まったことだ。「1年ほど前まではベンダーに聞いても『開発の計画はない』という答えしか返ってこなかったが、すでに米Newracom社がチップセットや評価ボードを供給、その他にも数社が開発に取り組んでいる」という。

さらに、「“いいタイミング”であるからこそ56社に参加していただけた」とし、「今後さらに多くの企業に会員になってもらえるのではないか」と期待を寄せた。

802.11ah推進協議会には56の企業・団体が参加している
802.11ah推進協議会には56の企業・団体が参加している



小林氏は、802.11ah対応デバイスの開発状況にも触れ、「チップが出てきたことで端末の開発が加速しており、2019年には様々な新しいデバイスが出てくる」とし、Newracom社のチップを用いて開発が進められているUSBデータ通信端末のイメージモックアップを紹介した。

このほか、2019年には台湾Gemtek社がゲートウェイを、同じく台湾のAdvanWISE社がアクセスポイントを発売する予定であり、複数の会社が通信モジュールやUSBデータ通信端末の開発を進めているという。こうした動きを受け、「日本だけでなく、アメリカや中国、シンガポール、台湾でも工場の自動化など、802.11ahの商用化に向けた多くのプロジェクトが進んでいる」そうだ。

802.11ah対応USBデータ通信端末のイメージモックアップ
802.11ah対応USBデータ通信端末のイメージモックアップ



さらに、来年実施を計画している実証試験に言及。「実験局免許を取得し、トライアルを行い、先行する他のLPWAや無線タグなどとどう共存していくかを明確にしていきたい」とした。

こうした結果を踏まえて「総務省や他の団体と周波数の共用条件を詰めて、920MHz帯を使えるようにしていきたい」と小林氏は意欲を見せた。

2019年に実証試験を行い、実用化を目指す
2019年に実証試験を行い、実用化を目指す

続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

macnicalpwa2012
haradasangyo2012
microfocus2010

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ローカル5Gのホント
   
~ Sub6・SAの真実と導入企業の本音
[Part1]期待のSub6・SA 方式、その本当の実力 [Part2]中韓独のローカル/プライベート5G動向 [Part3]ケーブルテレビ 先駆者の“生みの苦しみ” [Part4]オフィスにローカル5G [Part5]ローカル5Gやるなら「現場を見てほしい」

<インタビュー>OKI 坪井正志専務「AIエッジ×5Gの社会実装進める」/日本マイクロソフト 手島主税常務「リモートを価値に変える」
●コロナで加速するクラウドPBX導入/●IP化で到来する映像伝送の新時代/●O-RANの“本命”RICとは何か/●北俊一の最強のケータイ業界への道

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

ソフトバンククラウドPBXとFMCをワンストップ
withコロナ時代の電話の課題解決!

ソフトバンクのConnecTalkでリモートワークの会社電話の悩み解消。

レンジャーシステムズローカル5G導入するならレンジャー
国内初のSA構成の免許取得も支援!

ローカル5Gの「本命」SA構成の免許取得はじめワンストップ導入支援。

マクニカIP化で“新しい放送”の世界
NVIDIAの新技術が導く未来とは?

IP化がもたらす放送の未来についてマクニカとエヌビディアが語った。

CASO複数SIMで切れないモバイル通信!
映像伝送から産業用まで幅広く対応

独自技術「Speed Fusion」で、安定して切れない、高速モバイル通信!

ネットギア業務用AVのIP化は「SDVoE」

大規模なデジタルサイネージや
ビデオウォール等への映像配信を、
もっと低コスト・シンプルに!

LANが届かない、電源がない──。
映像伝送の「困った」を解決!

IP監視カメラの設置を諦めていた企業に朗報!

NTTコムウェアスマホの中に会社の電話機が入り
テレワークでも固定電話に対応!

テレワーク時の電話対応をどうすれば? クラウドPBXで解決だ!

マクニカネットワークス株式会社/Actility S.AIoTで勘や記憶に頼らないコロナ対策

IoTによる換気と接触の見える化で、データに基づいた「3密回避」が簡単に実現できる。

原田産業なぜ、5Gの「超低遅延」の実現に
高精度な時刻同期が不可欠なのか?

5Gの真骨頂「超低遅延」に欠かせない高精度グランドマスタクロック!

Juniper Virtual Summit for Japanジュニパーがオンラインイベント
AIOps、5G、クラウドの最新情報!

<12月3日開催>加速するクラウド活用とネットワークの変革

スリーダブリュー多彩なローカル5G関連企業と連携

スリーダブリューは、多様なプレイヤーと連携し、ローカル5Gの課題をワンストップで解決できる。

RADWIN4.9GHz帯無線で建機の遠隔操作!

鉄道での実績に加え、昨今は建機や港湾クレーンの遠隔操作を実現する無線インフラとしても注目。

日本シエナコミュニケーションズ光/IP融合で5G超低遅延

光伝送のリーダーであるシエナは、光/IP融合に磨きをかけ、5G URLLCとNWスライシングの効率運用に貢献

パイオリンク <帝京大学>ADCによる負荷分散で
オンライン授業の品質を担保

コロナ対策でオンライン授業に全面切替。パイオリンクのADC導入!

Cisco Webex Calling取り残されてきた「固定電話」
新しい働き方の鍵はクラウドPBX

テレワーク中の会社宛電話をどうするか? 解決策を探ってみよう!

マクセル太陽電池はもう時代遅れ!
リチウム電池で8年以上の持ち

マクセルの「IoT電源システム」は、リチウム電池を用いた従来ない電源

アイ・オー・データ機器リチウム電池で安定的に水位計測

アイ・オー・データの「水位監視用電池式IoT通信システム」ならコンパクトサイズで設置も簡単!

NECネッツエスアイ自然災害の被害をIoTで最小化

LPWAを活用した災害対策サービスを提供するNECネッツエスアイ。最適な通信規格がマルチに選べる!

スリーダブリューローカル5G局開設を全段階で支援
レンタルでコスト障壁に挑む

ローカル5G向けの基地局レンタルパッケージが提供開始!

マイクロフォーカス5G時代の高速アプリ開発!

モバイルアプリなどの開発をさらに高速化するためには、「Enterprise DevOps」への進化が欠かせない。

NVIDIA EGXエッジAIの最適解はGPUにあった!

NVIDIA EGXでエッジコンピューティングの課題を解決し、「スマートエブリシング革命」の実現を!

IDaaSクラウド時代の新常識! 今こそIDaaSを導入すべき3つの理由

クラウドを活用するなら、ID/アクセス管理もクラウドに!

ローデ・シュワルツローカル5Gの測定ニーズの
全てに応えるローデ・シュワルツ

設備構築時の干渉調査・エリア確認、運用開始後の管理までカバー!

MOVEit「パスワード付き圧縮ファイル」
にはもう頼らない!

セキュアなファイル転送を簡単かつ迅速に実行するには?

ホワイトペーパー
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます