企業ネットワーク最前線

ソフトバンクが「逆ザヤ」でNB-IoTを始めた理由

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2018.07.24

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ソフトバンク 代表取締役
副社長執行役員 兼 CTO 宮川潤一氏

ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は、7月19・20日に開催された「SoftBank World 2018」において、NB-IoTや5Gなど、デジタルトランスフォーメーションの実現手段となるソフトバンクの通信サービスの展開について語った。

 
宮川氏はまず、ソフトバンクが今年4月に他社に先駆けてスタートさせた「NB-IoT」について、「世界的にも最安値に近い月額10円、年120円という料金を発表したが、日本では電波利用料が1回線あたり年間140円かかるので、逆ザヤになっている」と明かした。

なぜ、逆ザヤの料金を設定したのか――。

「当社がアライアンスを組んでいる欧州のキャリア連合で、あるキャリアがIoTの接続料を年額1ユーロにすると発表した。IoTは今立ち上げの時期で、今後、爆発的な勢いで広がっていくと考えている。その中でグローバルのエコシステムに乗るために欧州と同じ料金でいこうと腹を括った」と宮川氏は説明した。

さらに同氏は、「総務省でもスマートフォンとIoTのセンサーの電波利用料が同じなのは、おかしいとは言っていただいていて、法改正に向けた手続きが進められている」と述べた。これを見越して、前倒しで安価な料金を設定したのである。

NB-IoTの月額10円という料金は、電波利用料を考えると逆ザヤだという
NB-IoTの月額10円という料金は、電波利用料を考えると逆ザヤだという



5Gについては、「5Gは4Gとは似て非なるもの。モノがつながるインフラを作るために規格を一から見直してみようということで作られたのが5Gだ」と宮川氏は話した。

その商用化時期だが、「2020年からサービスインしたいと思っているが、韓国や中国が2019年の計画をさらに前倒するという話も聞こえてきている。周波数を少し早くいただけるようであれば、展開を早めていきたい」と意欲を見せた。

5Gを活用したサービスの開発例としては、隊列走行の実証実験を取り上げた。車車間通信だけでなく、5G基地局にエッジサーバーを配置して低遅延を実現する、MECを用いた実験にも成功したという。「MECの標準化に向け、3GPPやITUなどの国際機関と実験データを共有させていただいている」とのことだ。

さらに、宮川氏はソフトバンクが企業や自治体などと取り組むIoTサービスの「共創」についても説明した。

ゴミ収集車に装着したカメラにより道路状況を把握して補修に活かしたり、基地局にカメラを付けて防災などに活用してもらう事例など、「共創プロジェクト」の数は、1年間で1000件を超える見込みだという。

ゴミ収集車にカメラを取り付け、道路の補修・管理に活用するトライアルも進められている
ゴミ収集車にカメラを取り付け、道路の補修・管理に活用するトライアルも進められている



最後に、宮川氏はソフトバンクが7月に発表した「IoTパートナープログラム」を取り上げた。様々な領域のパートナー企業を組織し、技術支援やビジネスマッチングなどを行うことで、IoTビジネスの拡大につなげていこうというもので、すでに140社が参加している。

「中国のデジタル化の取り組みは本当にすごいが、パートナーの皆様と一緒にサービスやデバイスを作り込み、日本が絶対に中国に負けないようにしていきたい」と述べて、宮川氏は講演を締め括った。

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