アカマイが描く「キャリアとCDNの新しい関係」

CDN最大手のアカマイ・テクノロジーズで、長年グローバルのキャリア向けビジネスに携わってきたマクゴーワン氏は、「この5年ほどでキャリアと新しい関係を築いている」と語る。同氏にアカマイのビジネス状況とキャリアとの新しい関係を尋ねた。


――アカマイ・テクノロジーズの現在のビジネス状況を教えてください。

マクゴーワン アカマイには3つのビジネスユニットがあります。「メディア」「ウェブ&セキュリティ」「エンタープライズ&キャリア」です。

最近はセキュリティサービスの分野が急成長していますが、アカマイが最も強いのはメディアストリーミングのソリューションで、半分弱の売上を占めています。

私たちは世界最大規模のCDN(Contents Delivery Network)を基盤に提供しており、23万台以上のCDNサーバーを世界中に分散配置しています。具体的には、大手キャリアやISPと連携しながら、彼らのネットワーク内にサーバーを置かせてもらっています。123以上の国で1350を超えるネットワークを展開中で、この超分散型のプラットフォームがアカマイの特徴です。

――アカマイにとってキャリアはどのような存在ですか。

マクゴーワン 非常に重要なパートナーです。前述のように、キャリアのネットワーク内にCDNのサーバーを置いてもらっているだけでなく、この5年ほどで新しい関係を築いています。

一例として、市場開拓も一緒にやるようになりました。キャリアはアカマイのサービスを一緒に売ってくれていますが、私たちにはない大規模な営業力を持っています。

ほかには、キャリアがエンドユーザー向けに提供する動画コンテンツ配信などのインフラとしても、アカマイのプラットフォームを利用してもらっていることも挙げられます。

米アカマイ・テクノロジーズ グローバルメディアセールス部門 シニアバイスプレジデント エド・マクゴーワン氏
米アカマイ・テクノロジーズ グローバルメディアセールス部門
シニアバイスプレジデント エド・マクゴーワン氏

――動画コンテンツ配信といえば、日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。

マクゴーワン 過去の推移を見ると、FIFAワールドカップでは、2010年の南アフリカ大会から2014年のブラジル大会の4年間で約10倍、オリンピックでは2012年のロンドンから2016年のリオで約6倍にトラフィックが増加しています。

今後、4K/8Kなどのストリーミングが増えることも考えると、東京オリンピックでは今までにないトラフィックが発生すると予想されます。

アカマイ社内では現在、2020年の需要予測をしながら、日本のネットワークは十分なキャパシティがあるのか、あるいはもっと増強しなければならないかなどを検討しています。また、キャリアやコンテンツプロバイダーとの関係では、ビットレートや特別な機能ニーズがあるかなど、具体的な調整を進めており、そうした話をもとに技術開発を進めています。

――グローバルでキャリアビジネスを見てきた経験をもとに、今の日本のキャリアビジネスをいかがですか。

マクゴーワン 日本は高速なネットワーク環境が整っており、そのような取り組みは非常に先進的だと感じています。

ただし、テレビ番組などをインターネットで同時配信する分野では、法規制の関係などもあり、世界と比較するとやや遅れを取っているかもしれません。しかしながら、最近は日本でもテレビとネットの同時配信が可能になる動きがあるようですし、今後は同時配信サービスが広く展開されていくと考えています。

これから動画は、インターネットの世界に移行していきます。そうしたなか、AT&Tのように自らOTTサービスを提供するのか、あるいはレガシーのIPテレビやVoD(Video on Demand)サービスを継続しながらそれを進化させるのか、選択が迫られているのではないでしょうか。

月刊テレコミュニケーション2017年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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