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ダイキン工業

IoTとAIで未来の働き方[第4回]IoTチェアで個人ごとに“快適に働ける空間”

文◎坪田弘樹(編集部) 2016.06.27

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働き方や仕事をする環境をより良くするために、IoT/AI技術はどのように使えるのか。次世代のワーススタイルを模索する4つの先進事例を見ながら、その狙いと課題を探っていこう。最終回となる今回は、座っているだけで心拍データを測定できる「オフィスチェア型センサー」を活用したダイキン工業の取り組みを紹介する。

 

快適な空間で仕事をしたいという望みは誰にも共通するものだが、オフィスは必ずしもそのようにはなっていない。例えば、冷房や暖房が効きすぎていたり、疲れているのに照明が明るすぎたりなど、ストレスを感じるケースは少なくない。

これを改善するため、センサーで測定したヒトの生体情報に合わせて空調・照明等を制御する技術を開発しているのがダイキン工業だ。

「近未来のオフィスでは、快適な状態で仕事ができるよう、個人ごとに空間を改善することが求められるだろう」と、同社テクノロジー・イノベーションセンターの樋江井武彦氏は語る。

ダイキン工業は、座っているだけで心拍データを測定できる「オフィスチェア型センサー」を開発。これを、三菱地所が東京・大手町で運営するビジネス交流施設「3×3 Lab Future」に設置し、オフィスで働く人の心拍変動と、室内環境の変化との相関を分析する調査を共同で行っている。

ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター 樋江井武彦氏
ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター 樋江井武彦氏


何も身に着けずにデータを計測この取り組みの最大のポイントは、人が“何も身に着けなくてもよい”という点だ。生体情報を収集するウェアラブル端末は、着用することがストレスになる場合もある。

「それを避けるために椅子の座面にセンサーを埋め込み、何も意識することなく普段通り仕事をするだけで、心拍はもちろん、呼吸や身動きの情報が取れるようにした」のだ。

これを実現したのが、ダイキン工業独自のセンシング技術「Airitmo(エアリトモ)」だ。安価な塩ビ製のチューブを使い、その内部の圧力変化を計るというシンプルな仕組みだ。ふとんやマットレスの下につけて睡眠の深さを測定して空調を最適制御するエアコンコントローラ「soine」等ですでに実用化されている技術で、今回これをオフィス向けに応用した。

 

ダイキン工業が開発したチューブ型センサー
ダイキン工業が開発したチューブ型センサー。チューブ内の空気圧の変化を計測し、そのデータをBluetoothで付近のPC等に送信できる。これをオフィスチェアの座面に埋め込むことで、座るだけで心拍や呼吸の変化を計測できる

 

実験は2016年2月から2018年3月まで2年間の予定で、2種類行っている。

1つは、12人が働くオフィスでデータを2年間継続して測定する。部屋の空調・照明、デスクに埋め込まれたパーソナル空調の設定を日・週ごとに変化させて、心拍変動との相関を分析する。

具体的には、心拍間隔のゆらぎを分析することで得られる、自律神経・副交感神経の働きを示す数値を使って、心と体の健康状態を8パターンに分類する。座っている人が、疲れて「ぴりぴり」「イライラ」している、「リラックス」しているといった状態を判定するのだ。

 

オフィスチェア型センサーを使いながら働いている従業員の実際のデータ
オフィスチェア型センサーを使いながら働いている従業員の実際のデータ。自律神経の働きなどを基に、心体の状態を8パターンに分類。その変化を可視化できる

 

もう1つは、サテライトオフィス用の小部屋で、利用者の心体状態と連動して空調・照明、音楽と香りを制御し、その組み合わせの効果を検証している。入室時にまず状態を判定してから、部屋に設置されているiPadで“こうなりたい”という設定を選ぶ――例えば「イライラ」状態だから「リラックス」して働きたい――と、それに適した状態になるように空調と照明の色・照度が変化し、音楽が流れ、香りも漂う。利用後にアンケートを行い、実際にどう感じたかというデータも集計して分析に役立てている。

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