モバイルフォーラム2015 レポート
MVNOの次のキーワードは「IoT」と「地方創生」――三菱総研・西角氏が講演

三菱総合研究所 情報通信政策研究本部
主席研究員 ICT利活用戦略グループリーダー
西角直樹氏
「格安SIM」や「格安スマホ」で人気が高まるMVNO(仮想移動体通信事業者)。総務省は2016年内に1500万までMVNO加入者を増やす目標を掲げている。今後ますますMVNOは発展していきそうだが、三菱総合研究所の西角直樹氏は、MVNOの次の活躍領域として「IoT」と「地方創生」の2つを挙げる。
三菱総合研究所 主席研究員の西角直樹氏は、2015年3月15日に開催されたイベント「モバイルフォーラム2015」で、「多様化するモバイルサービス~IoT、地方創生とMVNO」と題する講演を行った。
同氏がまず触れたのは、MVNOに対する関心の高まりについて。「1年前と比べ、グーグルで『MVNO』というキーワードで検索された数は約1.5倍に増えた。また、『格安スマホ』の検索数もMVNOに迫るほど増加している」と説明した。
 |
グーグルにおける「MVNO」と「格安スマホ」の検索数の推移 |
MVNOは、端末と通信サービス、アプリを選ぶ自由をユーザーに提供するが、このMVNOの自由は“わかりにくさ”と表裏の関係にある。そこに登場したのが、格安スマホである。格安スマホは、端末と通信サービス、アプリをセットにすることで、“わかりにくさ”を解消。この点がユーザーに受けているという。
 |
「選べる自由」と「簡単さ」のいいとこどりで成功した格安スマホ |
MVNO普及の背景には、それを後押しする法制度の整備もある。例えば昨秋、総務省は「モバイル創生プラン」を公表し、このなかでMVNOの契約数を2013年末の670万から2016年内に1500万まで伸ばすという目標を掲げている。
MVNOはMNO(移動体通信事業者)から回線を借りてサービスを提供するが、MVNOにとっての仕入れ値にあたるパケット接続料金の低廉化が進んだことも重要なポイントだ。現在ほとんどのMVNOはNTTドコモのネットワークを利用しているが、そのドコモのパケット接続料金は2012年から2013年の1年間で半額以下に値下がりした。
 |
格安スマホを下支えするパケット接続料の低廉化 |
こうした接続料の低下が、格安スマホビジネスの現在の隆盛を下支えしているわけだが、西角氏はこうも指摘した。「今後もMVNO市場は拡大していくが、事業者間の競争は激化している。MVNOはある段階から、集約・統合に向かうだろう」
その一方で、格安スマホとは別の新しいMVNOビジネスが育つ可能性もある。「具体的にはIoTと地方創生がキーワードになる」という。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。