トヨタカローラ神奈川のモバイルO2Oへの挑戦「社員の10年先の幸せをスマホで拓く」

“若者のクルマ離れ”が指摘されるなか、どうすれば若年層の顧客との絆を深められるのか。トヨタカローラ神奈川は、スマートフォン用アプリ「C-CONCIERGE」を独自開発。スマートフォンを活用して店舗に誘導する「モバイルO2O」に取り組んでいる。

神奈川県内に58店舗を構える自動車ディーラーのトヨタカローラ神奈川。同社社長の横田昇氏は今、10年先を見て、すべての物事を判断するようにしているという。

「1200人の社員とその家族全員が、10年後も幸せでいられる会社を作りたい」という思いからだ。

10年先の自動車販売ビジネスを見据えたとき、どうしても避けて通れないのは、少子高齢化の進展と“若者のクルマ離れ”という問題である。「トヨタカローラ神奈川の仕事を10年後にどれだけ確保できるか、ということを考えると、『若い人にどれだけアピールできるか』に尽きると思っています」と横田氏は語る。

トヨタカローラ神奈川 取締役社長 横田昇氏
トヨタカローラ神奈川 取締役社長 横田昇氏

そこでトヨタカローラ神奈川が力を入れているのが、独自開発したスマートフォン用アプリを活用したモバイルO2O。自動車販売業界では、非常にユニークな取り組みである。

店舗送客を狙い、スマホアプリでクーポン配信やプレゼント実施

「うちでもスマートフォンアプリを作って、若者にアピールすることはできるか?」

2012年の秋頃、社長からこう問われた販売促進グループの文藏秀之氏が「できます」と即答できたのは、自身もスマートフォン用アプリを使った販促活動の必要性を感じ、以前から情報収集を進めていたからだった。

自動車ディーラーの間では長年にわたり新聞折込チラシが主たる販促手段となってきた。しかし最近は、以前ほど効果的ではなくなっている。

「新聞の購読率も下がっているなか、若年層の方にアプローチするにはどうすればいいのか」――。文藏氏が辿り着いた答えも、スマートフォンの活用だったのである。

トヨタカローラ神奈川 文藏秀之氏 トヨタカローラ神奈川 乗附信英氏

トヨタカローラ神奈川 営業推進部 営業企画室
販売促進グループ
文藏秀之氏

トヨタカローラ神奈川 営業推進部 営業企画室
情報通信グループ グループマネジャー
乗附信英氏

社長の命を受けた文藏氏は、具体的な検討に着手。約1年の検討・企画・開発期間を経て、2013年12月にスマートフォン用アプリ「C-CONCIERGE」をリリースした。iOS 5.0以上およびAndroid 4.0以上のOSを搭載したスマートフォン/タブレットに対応している。

C-CONCIERGEについて文藏氏は、「店舗送客に主眼を置いて作りました」と説明する。

例えば、最新の新車・中古車情報やキャンペーン情報、さらにはアプリ会員限定のお得なクーポンなどがプッシュ配信される機能だ。C-CONCIERGEを通して、様々な情報やクーポンを提供することで来店を促す。

また、1日1回チャレンジできるミニゲームも実装している。ミニゲームに勝つとアプリ内にスタンプが貯まっていき、店頭でプレゼントがもらえるという仕組みだ。スタンプは来店することでも獲得できる。

C-CONCIERGEの画面例 C-CONCIERGE C-CONCIERGE
C-CONCIERGEの会員限定のクーポン券 C-CONCIERGEのミニゲーム画面。じゃんけんに勝つとスタンプが貯まる 獲得したスタンプはアプリ内のスタンプカードに貯めていく。カードがスタンプでいっぱいになると店頭でプレゼントがもらえる

「“気軽に来店してほしい”というのがテーマ。プレゼントやスタンプの獲得などを目的に、定期的に来店していただくなかで、ショールームのクルマをご覧いただいたり、営業スタッフとの会話の機会を増やし、お客様との“絆”を深めていきたいと考えています」と文藏氏は語る。そして、この深まった絆の成果として、顧客の“囲い込み”を図っていきたいという戦略である。

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