ユニファイドコミュニケーション導入・構築のポイント(前編)クラウド型UCの導入前に知っておきたい3つの課題

クラウドの普及によりユニファイドコミュニケーション(UC)が導入しやすくなった。だが、既存システム/ネットワークとの連携において、新たな課題も出てきている。UC導入・構築の現場で浮上している課題をレポートする。

電話とメールを中心とした既存のコミュニケーション環境からユニファイドコミュニケーション(UC)へと移行するには、UC基盤製品やアプリケーションを導入するだけでなく、ネットワークインフラの再整備・構築、電話設備や認証基盤といった既存システムとのインテグレーション作業が伴う。

下の図表は、日本マイクロソフトのMicrosoft Lyncを例に、電話システムと統合したUCシステムの構成イメージを図示したものだ。ディレクトリ・認証システム、セキュリティ等も含めたサーバー群と、ネットワークインフラ/端末、そして既存の電話設備が連携する。

図表 UCシステムの構成イメージ(Lync2013 エンタープライズボイスの例)
UCシステムの構成イメージ(Lync2013 エンタープライズボイスの例)

このように、IT、ネットワーク、そして音声と幅広い領域におよぶUC構築においては、留意すべきポイントも多岐にわたる。

そこで、実際のUC導入・構築の現場では今、どのような課題やニーズが生じているのか、複数ベンダーの製品・サービスを扱ってUCを手掛けているSIer、三井情報、ユニアデックス、NECネッツエスアイの3社に取材し、UC導入の実態とシステム構築の課題を整理した。2回に分けてレポートする。

クラウドで浮上するUCの新課題

UCの導入形態の最近の傾向として見逃せないのが、クラウド型UCサービスの利用が増加していることだ。IM(インスタントメッセージング)やプレゼンス、メール、スケジューラ、VoIP/ビデオ通話、遠隔会議などを小規模に低コストで使い始められるため、これをUCの入口とするユーザーも多い。

三井情報はシスコシステムズの「WebEX」、グーグルの「Google Apps for Business」、日本マイクロソフトの「Office 365」と、各種のサービスを取り扱っている。次世代コミュニケーション事業本部市場開発部部長の吉澤比呂志氏は、「これまで我々がオンプレミス型で作ってきたかなりの部分が、サービスでできてしまう。今、お客様はUCに入りやすい状況」と話す。

今後は、こうしたパブリック型のクラウドサービスを入口として、その後オンプレミス型や、両形態を連携させたハイブリッド型へ移行する動きが増えるだろう。その流れに沿って、今回はまず、クラウド型UCの導入企業が抱える課題を整理する。

SIer各社のUC担当者が強調するポイントは、ID管理・認証基盤の統合、IMのログ管理、そしてトラフィックの把握の3点だ。

月刊テレコミュニケーション2014年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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