ICT技術解説[第3回]ネットワーク機能の仮想化を実現する「NFV」を徹底解説

SDNによるネットワークの仮想化の取り組みが具体化していくなか、「NFV」(Network Functions Virtualization)というキーワードを最近耳にする機会が急速に増えてきた。今回はネットワーク機能の仮想化を実現するNFVについて徹底解説する。

1.NFVとは?

「サーバ仮想化」から始まり、「クライアント仮想化」と続いて、今はSDNを中心とする「ネットワーク仮想化」が情報システム部門にとっての最大の関心事になっているが、ネットワーク仮想化の世界では「SDN」や「OpenFlow」と並んで、今、最も気になるキーワードとして「NFV」が急浮上してきた。

NFV(Network Functions Virtualization)とは、仮想化技術を使ってネットワーク機能を汎用サーバ上で実現することだ。現在、ネットワーク機能の多くは、専用ハードウェアと一体化したネットワークアプライアンスとして提供されているが、NFVでは専用ハードウェアを使わずに汎用サーバ上でネットワーク機能を実現する(図表1)。

図表1 NFVとは?
NFVとは?
出典:NFV White Paper(http://portal.etsi.org/NFV/NFV_White_Paper2.pdf

NFVという言葉が正式に登場したのは2012年10月、ドイツにて開催された「SDN and OpenFlow World Congress」で配布された「NFV White Paper」においてだ。このホワイトペーパーはNTTやKDDIを含む世界各国の主要な通信事業者が共同執筆した。また、2013年1月には、ETSI(欧州電気通信標準化機構:European Telecommunications Standards Institute)によるNFV ISG(Industry Specification Group)の初会合がフランスで開かれ、通信ネットワークの各種機能を仮想化するためのアーキテクチャおよび基本仕様を開発していくことになった。初会合の時点でNFV ISGには28のサービスプロバイダを含む150社以上が参加している。2013年10月には、NFV ISGからNFV技術の方向性を示す最初の仕様書が公開された。

SDNとの関係
NFVはネットワーク機能を仮想アプライアンス化する技術だが、もう1つの話題のキーワードSDN(Software-Defined Networking)とはどのような関係になっているのだろうか。

「NFV White Paper」によると、NFVとSDNは図表2に示す関係にあるという。図表中の「オープンイノベーション」とは、自社だけで開発するのではなく、外部の力を借りながら自社の技術もオープンにして革新的なアプリケーションを作り出すこと。また、SDNはネットワークを抽象化することで、ネットワークの設計変更を容易にする。そして、NFVはCAPEX(Capital Expenditure:設備投資費用)およびOPEX(Operating Expense:運用費用)の縮小、スペースと消費電力の削減に役立つ。

NFVはSDNを補完するものだが、依存関係にあるわけではない。NFVはSDNがなくても実装することができるが、両者のコンセプトとソリューションを組み合わせることで、より価値を高めることが可能だ。

図表2 NFVとSDNの関係
NFVとSDNの関係
出典:NFV White Paper(http://portal.etsi.org/NFV/NFV_White_Paper.pdf

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