NTTとオリンパスは2024年3月27日、内視鏡の映像処理機能をクラウド上で実現する「クラウド内視鏡システム」の実証実験を開始すると発表した。
クラウド内視鏡システムはオリンパスの内視鏡に対する高度な技術を活用し、内視鏡装置内で処理されてきた映像処理を遠隔地に設置されたクラウド上で実施するものだが、従来のネットワーク技術では実現が困難だった。そこで今回、NTTのIOWN APN技術を活用することにより、クラウド上でのリアルタイム映像処理を実現できるようになったという。
クラウド内視鏡システムの概要
今回の実証実験では、実際の内視鏡とGPUサーバをIOWN APNで接続した実験環境を構築し、それを起点として今後以下のような検証などを双方で実施していく予定だ。
①高速低遅延を実現する光伝送パスで内視鏡とクラウドを模擬したサーバを接続することで、クラウド化に伴う処理の遅延が発生しないことの検証
②ネットワーク障害時におけるフォールバックなどをふくめ、医療機器に求められる高い信頼性、可用性をシステム全体として実現できることの検証
③量子計算機でも攻撃が困難なセキュア光トランスポートネットワーク技術を用いて内視鏡とクラウド間を暗号化することで、情報のセキュリティが確保できることの検証
同実験終了後、両社は実証で得られた知見をもとに、クラウド内視鏡システムのビジネス化に向けた検討を共同で進める。さらにNTTは、医療機器をクラウド化する際の諸技術課題を解決する、医療機器向けネットワークのリファレンスモデルを確立させ、オリンパスはクラウド内視鏡システムなどに最適なネットワーク、およびそのリファレンスモデルの確立に寄与するとしている。
