5G市場「O-RANとvRANにチャンス」、ザイリンクスが新事業戦略

ザイリンクス日本法人の新カントリーマネージャーに昨年就任した林田裕氏が2021年1月28日、新事業戦略を発表した。通信市場においては5G基地局、特にRANのオープン化/仮想化の領域に注力。国内外の5G基地局メーカーで同社製SoCの採用が進んでいるという。

5G NR(New Radio)に対応する基地局設備向けのSoC「Zynq RFSoC」の開発・提供により、RAN(無線アクセスネットワーク)向けのビジネスを拡大しているザイリンクス。日本法人でカントリーマネージャーを務める林田裕氏は新事業戦略説明会において、通信市場の今後の見通しについて「O-RAN、オープン化と仮想化がトレンドになる」と話した。


林田氏が5G市場のトレンドとして挙げる「オープン化と仮想化」

O-RANは、通信事業者の主導によりRANのオープン化/インテリジェント化を推進する活動で、国内ではNTTドコモがO-RAN仕様に準拠した5G基地局設備を導入。NECや富士通を含めて国内外の基地局メーカーがO-RANに対応した設備を開発・提供している。林田氏によれば、「国内外でザイリンクスのSoCが採用されている」状況だ。「国内のメーカーにとっては、グローバル市場でのビジネス拡大の契機になる」という。

コアネットワーク/エッジ領域も含めて通信市場においては今後、次の4分野に注力していく。


2020年8月にザイリンクス日本法人の
カントリーマネージャーに就任した林田裕氏

1つめが「5G O-RU」だ。RUとは5G基地局のアンテナ部分のことで、これをCU(集約基地局)やDU(分散局)に収容して基地局を構成する。

この分野においては、2020年末に発表した新世代SoC「Zynq RFSoC DFE(デジタル フロントエンド)」を活用する。前世代に比べて処理能力を2倍にしながら消費電力を約半分に抑えており、O-RAN仕様にも対応。これにより、基地局展開の低コスト化と低消費電力化の実現に貢献する。

また、ザイリンクスが提供するAIエンジンの「Versal AI Core」を用いることで、「効率的なビームフォーミングも実現できる」と林田氏。5G RANのキー技術の1つであるMassive MIMOの実現にも取り組むとした。これが2つめの注力分野だ。

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