「新型コロナの影響でWeb会議やオンラインイベントなどが盛んになっただけでなく、オンライン結婚式やバスツアーなど、意外な業界がオンラインで新しい体験を提供し始めた。そこで画面が止まったり乱れたりせずに配信したいというニーズが高まっている」と説明するのは、CASO 営業部 シニアスタッフの林瑜氏だ。
そこで今、同社が提供する香港Peplink社のマルチSIMルーターへの問い合わせが急増している。
「売り上げが昨年の約5倍にもなった。映像・放送機器のレンタル会社でも取扱台数を大幅に増やしており、レンタルでご利用いただいた後に購入されるお客様もいる」(代表取締役の武田和広氏)
マルチSIMルーターは、4G/3Gに加えて、ADSL、光回線、衛星通信など様々な種類の回線を束ね、あたかも1つの回線のように利用できるルーターだ。SIMはキャリアを選ばず使え、最大18個のSIMまでボンディングできる機種も用意するなど、幅広いラインナップを揃える。
「例えば、監視カメラに繋ぐのであれば2SIMの小型機種、4K映像など大容量のデータを送りたい場合は10SIMの機種など、用途に合わせてスペックを選べる。5G対応機種も用意しており、こちらも多くのお問い合わせをいただいている」(林氏)
図表1 機能全体
回線ダウン、パケロス、速度低下… マルチSIMルーターが全て解決直近では映像・音声伝送での利用が多かったが、この他にも有線通信のバックアップや、4Gや有線など異なる通信回線をまとめてWANを冗長化・高速化したり、遠隔地でネットワークを短期間で構築するなど、モバイル通信が求められる様々な場面で利用されているという。
モバイル通信と聞くと、回線が落ちないか、パケットロスがないか、速度低下が起きないかなどの懸念があるだろう。PeplinkのマルチSIMルーターは、それらを全て解決する独自技術「Speed Fusion」を搭載している。Speed Fusionは、1つの回線に障害が発生しても自動的に別の回線に切り替えることで切れない接続を実現する「Hot Failover」、データを送る前にパケットをコピーし、パケットロスを防ぐ「WAN smoothing」、回線を束ねることで帯域幅を広げスループットを最大化する「Bandwith Bonding」の3つのテクノロジーで構成されている。
こうした特徴から、ATMやPOSレジ、オンライン取引など、一瞬でも通信が切れると甚大な損害が発生する現場のバックアップ回線や、前述の音声・映像伝送、他にもMPLSの代替として企業のVPNとして利用されたり、交通機関や海上の通信手段としても利用されている。
Speed Fusionの利用にはPeplink製ルーターが2台以上必要となるが、各拠点にそのルーターを配置することで、これら3つのテクノロジーによって異なる通信回線を束ねられ、柔軟性の高いVPNとして利用できる。
さらにネットワークと端末はクラウド上のSD-WANコントローラー「InControl2」から柔軟に管理可能な点も特徴だ。
CASO 営業部 シニアスタッフ 林瑜氏(左)、営業部 セールスエンジニア 山浦俊太郎氏
「遠隔から設定できるので現場の人にITの知識は不要。クラウドの管理画面から通信やデバイスの状態が可視化できる。各SIMの通信速度や、GPSによって移動履歴も分かるので、車に載せて移動しながら『このエリアではA社の電波がよく入る』といったことも把握できる。トラッキングはスピード違反も分かるほど正確だ」(営業部 セールスエンジニアの山浦俊太郎氏)