IDC Japanは2019年5月21日、国内AIシステム市場予測を発表した。IDCではAIシステム市場を、「自然言語処理と言語解析を使用して質問に応答し、機械学習をベースとしたリコメンデーションとディレクションを提供することで、人間の意思決定を補助/拡張する技術」と定義している。
国内AIシステム市場の2018年の前年比成長率は91.4%。今後も同市場は拡大を続け、2023年には3578億円の規模になる見込みだ。その中でも市場を引っ張るのはソフトウェア市場であるとし、特にAI組み込み型のアプリケーションの普及が進むという。また、ソフトウェア構築時に必要なコンサルテーションや導入設計といったサービスの市場が合わせて伸び、この2つの市場がAIシステム市場全体をリードしていくと予測した。
国内AIシステム市場予測
国内企業にAIシステムの利用有無について調査したところ、2019年は「事業部門で利用」「全社的に利用」「社内で広くPOC」が上位3位で合わせて50.8%を占め、2018年と比較して利用範囲が拡大していることが分かった。
AIシステムの利用有無
IDCはAIを、DX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引する要素の1つと見ている。DXは企業が顧客や市場といった外部の大きな変化に対応しつつ、組織・文化・従業員など内部も変化させ、AIなど最新技術を利用して新たな価値を創出することだとIDCは定義している。
IDCが考えるDXの定義
IDC Japan リサーチマネージャー 飯坂暢子氏
DX実現の最大の課題として内部プロセスと外部プロセスの分断があるといい、現在日本企業の多くがDXの活用範囲を企業内部に留めており、外部向けの変革が進んでいない可能性があると指摘する。
DXの課題
プロセス変革のギャップ
AIシステムの利用目的を調査したところ、最も当てはまるものは「経営状況の把握」「働き方改革」のような内部変革が主となった。次に当てはまると回答したのは「顧客サービスの向上」や「既存サービスの改良」など、外部変革に関する回答が目立ったことから、今後は外部変革も進むと思われる。
AIシステムの利用目的
AIシステムの利用目的は内部変革の比重が大きい