Office 365等のクラウドサービスの普及により、社内から社外へのアクセスが増えている。拡張性と柔軟性を備えたWANの実現に有効なのが、「SD-WAN(Software Defined WAN)」だ。SD-WANには様々な機能があるが、特に日本でニーズが大きいのが「インターネットブレイクアウト」だ。特定の通信だけを、本社/データセンターを経由させずに、各拠点から直接インターネットにつなぐことができる。
ただし、「いざ検証・導入するとブレイクアウトが正確に実行できないSD-WANも多いです」と指摘するのは、マクニカネットワークスの恒本一樹氏だ。ほとんどのSD-WANはDPIを用いた技術でアプリを識別するが、その場合は初回の通信では判別できない。TCPアプリでは、最初の3つのパケットにはペイロード情報が無く、アプリレベルでブレイクアウトをするには最初のパケットでルーティングする必要がある。1回目の通信で正しく識別できないと、本社経由の通常ルートでアプリケーションへアクセスする。その後、後続の通信が正しく識別され、拠点から直接アクセスできた場合、途中から接続元が変わるため不正通信とみなされ、通信できない恐れがあるのだ。