ソフトバンクは2018年5月11日、「5G×IoT Studio」のお台場ラボを報道陣向けに披露した。お台場ラボは、5GやIoTを活用したサービスの導入を考えている企業や自治体など向けのトライアル環境。5Gの実験機器を使った技術検証を行うことができる。また、5GやIoTに関するデモンストレーションエリアなども設けられている。
5G×IoT Studio お台場ラボの概要。東京都江東区青海のテレコムセンタービルにある
ソフトバンク副社長の今井康之氏は、すでに本田技術研究所や大成建設などと5Gを活用したトライアルに取り組んでいることを紹介。そのうえで、「2020年に向けて、様々な企業の皆様と5Gの実証実験をこのラボで先行して実施しながら、いろいろな要望に応えていきたい」と、お台場ラボを活用して企業との「共創」を活性化させる考えを述べた。
ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井康之氏
異業種の企業や自治体とのパートナーシップによる、5GやIoTを活用した新サービスの共創には、NTTドコモやKDDIも力を入れているが、今井氏がソフトバンクの特徴として強調したのはMEC(Multi-access Edge Computing)だ。
「我々が今、非常に強力に推進しているMECについても、5Gを活かした形で、お客様にいろいろなサービスを提供できると思っている。Armやソフトバンク・ビジョン・ファンドで投資しているエヌビディアも含めて、グループシナジー、群戦略を活かした技術をもって、企業の役に立っていきたい」
今回披露されたお台場ラボのデモンストレーションエリアを見ても、5GとMECを組み合わせたデモが中心になっていた。
MECのメリット
ソフトバンク テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発本部 本部長の湧川隆次氏によると、お台場ラボで利用できるMEC環境は、「3つの異なるアーキテクチャのサーバーを用意している」ことが大きな特色となっている。
「どうしてかというと、アプリケーションによって、使いたいコンピューティングリソースは違っているからだ。例えば、『AIを使いたい』『グラフィック処理をしたい』となれば、やはりGPUが必要になる」。そこで、エヌビディアのGPUの出番となる。
また、「『汎用的な環境が欲しいんだ』というとインテルがいいし、『並列処理で大容量データを処理したい』というとメニーコアのArm環境になる」。そため、3つのアーキテクチャのMEC環境を用意し、大容量・低遅延の5Gと組み合わせて実証できるようにしたという。
なお、その仮想環境についても、コンテナとハイパーバイザーの両方をサポートしている。
インテルに加え、NVIDIA、Armの環境も用意