F5ネットワークスジャパンは2016年11月24日、新事業年度(FY17)に向けた事業戦略と、新たに提供を始めるADC(アプリケーションデリバリコントローラ)製品等に関する説明会を開催した。
新製品のポイントは「マルチクラウドへの対応」だ。
オンプレミス環境と複数のクラウド環境を併用する企業が増加していることを受けて、どの環境に業務アプリケーションを展開しても同等のセキュリティと可用性を担保し、かつそれらを効率的に運用管理できるようにするため「クラウドレディのADC」を新たに開発。同社の主力製品である「F5 BIG-IP」シリーズのラインナップを刷新する。
国内シェアは40%に増加、日本市場に根ざした展開進める
説明会の冒頭、代表執行役員社長の古舘正清氏は日本市場におけるビジネスの現況と、新年度以降の事業戦略について説明した。
F5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長の古舘正清氏
同社の2016事業年度の状況は、「グローバルも日本も非常に順調」(同氏)で、特に日本法人は最も高い成長率を達成しているという。古舘氏が社長に就任した前年度に34%であった国内ADC市場シェアは現在、40%に上昇。その要因として「大手金融や中央省庁で、プライベートクラウドに移行するお客様のインフラ刷新が行われた。そこで他社製ADCをF5に以降・統合する案件があった」ことを挙げた。
また、同氏は、着任後に特に注力してきたセキュリティ事業、SDN事業でも成果が上がっていることを強調した。WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)を主力製品とするセキュリティ事業は60%以上成長し、「大手金融・製造で採用が始まったSDN関連でも65%以上の成長を果たした」。
これらの成果の背景には「日本市場に根ざした事業展開」があると古舘氏は話す。例えば、国内ユーザーの声を迅速に製品開発にフィードバックするため米本社に日本市場向けのCTOを置き、「日本に合わせた品質での製品開発を進め」てきた。今後はさらに組織的に日本のユーザーのニーズを本社側に伝えるべく、国内の顧客企業で組織するユーザー会を設立し、17年度末までに100社の参画を目指すという。
17年度事業方針の重点施策
17年度以降の事業方針については、IoTとDevOps領域に注力すると述べた。IoTが本格化すれば、大量かつ多様なデバイスからトラフィックが生み出されることになるが、古舘氏は、ADCが担う「高可用性、セキュリティ、リアルタイム性がIoTにおいても重要になる」と指摘。また、短いサイクルでアプリケーションの開発と運用を繰り返すDevOpsについても、ADCの役割はこれまで以上に高まると話す。こうした新市場のニーズに応える製品の開発、提供に注力するという。
ADC以外のクラウドやセキュリティの売上増を目指す
古舘氏は、これらの取り組みを続けることで「2020年にはセキュリティとクラウドを売上の半分にする」ことを目標に掲げた。