――10月14日にNTTドコモが国内外のIT・通信ベンダー6社と行ったNFV(Network Functions Virtualization)の実証実験(PoC)に成功したと発表しました。ファーウェイもこの実験に参加しています。
シャオ 今回の実験では、LTEのパケットコアネットワークの機能を仮想化するvEPCなどのNFV製品が十分な機能を持っているか、他のベンダーの製品と組み合わせて問題なく使えるかなどが検証されました。実験が終わったばかりで詳しいお話はできないのですが、非常に良い結果が得られています。これを機に日本でのビジネスにさらに力を入れてきたいと考えています。
――ファーウェイは、NFVにどのように取り組んでいるのですか。
シャオ 弊社はソフトウェアにより通信ネットワークを柔軟に制御できるクラウドをベースに2020年に向けた新たなネットワークアーキテクチャを考えており、その上でネットワークの多様な機能をNFVによって仮想化していこうとしています。この戦略を弊社ではSoftCOMと呼んでおり、投資もこの戦略に基づいて進めています。
図表1 Huawei SoftCOM Target Architecture Based on NFV/SDN[画像をクリックで拡大] |
ファーウェイでは標準化を進めるETSI(欧州電気通信標準化機構)のフレームに基づき、NFV製品を大きく(1)VNF(Virtualized Network Function)、(2)NFVI(Network Functions Virtualization Infrastructure)、(3)MANO(NFV Management and Orchestration)の3つのカテゴリに分けています。
(1)のVNFはアプリケーション部分で、当社では通信ネットワークを構成する様々な機能モジュールの仮想化を進めています。EPCだけではなく、他のネットワーク・エレメントに関しても仮想化を進めており、電話やビデオなどマルチメディアを担うIMSや、ポリシー制御を担うPCRFを仮想化したものがvIMSやvPCRFと呼ばれる製品になります。
(2)のNFVIはコンピューティング、ストレージ、ネットワークといったハードウェアリソースをハイパーバイザなどで仮想化し、VNFやMANOがその仮想化されたリソースを柔軟に扱えるようにするための基盤です。VNFはNFVI上で動作します。
ファーウェイではオープン・スタンダードのOpenStackをベースに通信事業者のニーズに対応できる高い能力・信頼性を持ったNFVIを開発、「FusionSphere」のブランドで展開しています。
(3)のMANOはNFVの司令塔にあたる部分で、VNFを管理するVNFM(VNF Managers)と、NFVIを管理するVIM(Virtualised Infrastructure Manager)、そしてNFVの全体の統括を行うオーケストレーター(Orchestrator)で構成されます。これも通信事業者の厳しい要求に対応できるキャリアグレードの製品になっています。
今回の実験ではvEPCだけでなく、NFVIのFusionSphereやMANOについても検証が行われました。
――NFV製品の開発はどこまで進んでいるのですか。
シャオ ファーウェイは世界各地にR&Dセンターを有しており、現在それぞれのR&DセンターでNFVに関する研究開発を行っています。この中には中国、欧州、アメリカも含まれています。
多くの製品がすでに商用化の段階に入っており、VNFではvEPCをはじめ移動体通信ネットワークの基本機能の仮想化対応が完了しています。vIMS、vPCRF等、その他アプリケーションの商用化でもファーウェイは業界をリードしていると自負しております。vIMSについても今年商用化される予定ですし、MANOは製品化されていて、単体で購入していただくこともできます。
NFVIのFusionSphereは成熟した仮想化製品であり、既に多くの販売実績があります。全世界の通信、金融、交通、エネルギー、メディア等の大企業や中小企業で幅広く利用されており、特にNFVへの対応を強化したバージョンも販売できる状況になっています。
これらに加えてSTB、HGWなどの宅内機器の機能をネットワーク側で提供するvCPE(Customer-Provided Equipment)分野の製品もまもなくリリースされます。