SDN（Software-Defined Networking）のリーディングカンパニーの1社として知られる米国のベンチャー、Big Switch Networksが日本市場に参入する。2013年3月5日、国内での販売代理店を務める伊藤忠テクノソリューションズ（CTC）およびネットワンシステムズの2社と共同記者会見を開いた。

Big Switch Networksの製品群

Big Switch Networksが提供するのは、3つの製品だ。まずはOpenFlowコントローラの「Big Network Controller」である。同社がオープンソースとして公開するOpenFlowコントローラ「Floodlight」をコアに商用製品化したもので、1000個以上のスイッチの管理と1秒当たり25万件の新規のホスト接続を処理できる拡張性を備えているという。

Big Network Controllerと連携して機能するSDNアプリケーションも2つ提供する。1つは、ネットワーク仮想化を実現する「Big Virtual Switch」。最大3万2000の仮想ネットワークをサポートしたデータセンター向けアプリケーションである。

もう1つはネットワークを可視化する監視アプリケーションの「Big Tap」で、セキュリティツールやパフォーマンスツール、ネットワークパケットブロッカーと連携して動作する。非常に安価に大規模ネットワークを監視できるのが特徴だという。

オープンなエコシステムでベンダーロックインを排除

Big Switch Networksのグイド・アッペンツェラーCEO／共同創立者が「非常に重要な点」として強調したのは、オープンなエコスシステムを構築していることだ。データプレーン側のサウスバウンドAPIには、オープンな業界標準であるOpenFlowを採用。物理スイッチについてはアリスタネットワークス、ブロケード コミュニケーションズ システムズ、ジュニパーネットワークス、フォーステンネットワークス（現デル）、エクストリームネットワークスとパートナーシップを結んでいるほか、IBMおよびHP製品との相互接続検証も実施している。

また、ハイパーバイザーおよび仮想スイッチに関しても、シトリックス、マイクロソフト、レッドハット、Ubuntuのカノニカルが正式パートナーで、ヴイエムウェアとも相互接続検証を行っている。

データプレーン（サウスバウンド）側のエコシステム

アプリケーション側のノースバウンドAPIに関してもオープンであることを力説。F5ネットワークスやパロアルトネットワークスなど、サードパーティのSDNアプリケーションとBig Network Controllerをオープンに連携させられるという。「ユーザー企業には、好きなものを組み合わせて使ってもらえる。我々はベンダーロックインを排除していく」とアッペンツェラー氏は説明した。

アプリケーション（ノースバウンド）側のエコシステム

さらにもう1つ同社の特色として紹介されたのは、Big Virtual Switchでは物理スイッチと論理スイッチの混在構成が可能な点だ。OpenFlowには大きくオーバーレイとホップバイホップの2つの方式があるが、これらに加えて両者のハイブリッドにも対応する。

（左から）CTC 取締役 兼 常務執行役員 エンタープライズシステム事業グループ担当役員の櫻庭愼一郎氏、Big Switch Networks CEO／共同創立者のグイド・アッペンツェラー氏、ネットワンシステムズ ビジネス推進グループ 執行役員の篠浦文彦氏

会見では、国内パートナー2社も登壇した。CTCの櫻庭慎一郎氏は「我々は昨年からSoftware Defined Infraという概念で、インフラをソフトウェアで自動管理、自動最適化できないかと取り組んできた。そのなかで最後に残ったのがSDNの部分。CTCのDNAは、オープンとマルチベンダーであり、Big Switchを選ぶのは自然の流れだった」と話した。初年度10億円の売上を目指すという。

また、ネットワンシステムズの篠浦文彦氏は「コアにBig Switchの製品を置きながら、様々な製品を組み合わせ、エコシステムを作りながら、SDNの連携範囲をクラウド基盤全体に拡大していく。ターゲットはまずデータセンター。2014年からは通信事業者やエンタープライズもターゲットにし、今後3年間で70億円の売上を目指す」と説明した。

ネットワンシステムズは販売価格も明らかにしており、Big Network ControllerとBig Virtual Switichのパッケージが年額1240万円～、Big Network ControllerとBig Tapのパッケージが同450万円～となっている。