――NTTドコモとオムロン ヘルスケアの合弁会社として2012年7月に設立されました。現在の状況をお聞かせください。
村上 2013年春~夏にオリジナルサービスの第一弾を開始する予定で、両社から出向してきている社員25人が力を合わせて取り組んでいるところです。サービスは試行錯誤を繰り返しながら磨きをかけていくものなので、準備が整い次第スタートしたいと考えています。
――具体的にはどのような事業プランですか。
村上 ドコモは通信業界、オムロン ヘルスケアは健康・医療機器業界でそれぞれリーディングカンパニーの立場にあります。オムロンは海外展開もしており、血圧計に関しては世界シェア1位です。双方が経営資源を持ち寄りコラボレーションすることによるメリットは3点あると考えています。
1点目は、両社の持つ技術の親和性です。オムロン ヘルスケアの健康医療機器とドコモのスマートフォンをNFC等の技術を用いて連携させる機能を開発・活用することで、お客様が測定した血圧などの身体データを簡易にクラウド上に蓄積・管理できる環境を整え、それらのデータを基にした革新的なサービスを早期に実現することが可能となります。
2点目は、協業を志向していくアライアンスパートナーについてです。今後プラットフォームを構築する上では、健康に関する商品やサービス提供をお願いする第三者(企業)のパートナーの方々との連携は重要であり、これまで両社が築いてきた経験やノウハウが大モバイルと健康で新サービス創造きな強みになると考えています。我々がプラットフォームという「場」を作り、そこに健康に関心のあるお客様や、健康関連企業に集まっていただくことで、お客様1人ひとりが必要とするさまざまなサービスの提供を目指していきます。
3点目に、両社が顧客接点に持つ大きなアセットの活用です。ドコモが全国に約2400店舗展開しているドコモショップや、オムロン ヘルスケアが家電量販店やドラッグストアに持つ強力なネットワークを生かせば、幅広いお客様へのサービスの提供が可能となり、大きな力を発揮するはずです。もちろん、現在両社が持つそれぞれの大きな顧客基盤そのものが大きな強みになることは言うまでもありません。
価値の源泉はプラットフォーム
――モバイルとヘルスケアの組み合わせに注目している企業は他にも数多くあります。その中で、どう差別化を図るのですか。
村上 当社の価値の源泉はプラットフォームにあると考えています。よって、さまざなプレイヤーが参入する中で、プラットフォームの価値をいかに上げるかが重要です。身体データの分析やアルゴリズムといったオムロンのノウハウを使い、単にデータの閲覧にとどまらず、ライフスタイルの提案のようなもう少し踏み込んだ価値を提供することができるのではないかと思います。
――ドコモが提供するdマーケットとはどのように関わっていくのですか。
村上 ドコモの持つ6000万の顧客基盤は、たとえるなら人通りの多い銀座の一等地に店舗を構えているようなものです。dマーケットでは従来のデジタルコンテンツに加えて、12月からリアルの商品を扱うdショッピングが始まるので、当社との連携による相乗効果について検討を進めているところです。
――新会社は5年後に売上高100億円を目標にしていますが、実現可能性についてはどのように見ていますか。
村上 収益源として、いくつかの事業カテゴリーがあります。
まず、「サービス利用料収入」です。来年春~夏に提供開始するオリジナルサービスをはじめ、今後提供するサービスの対価として、お客様への月額課金モデルを検討しています。また、実現までに少し時間がかかるかもしれませんが、プラットフォーム事業としては、CPなどのサードパーティがコンテンツを提供する際、プラットフォーム利用料の収益が見込めます。
さらに、我々が提供するサービスと健康機器を連携させる以上、機器そのものを双方の販売チャネルを活用しながら売っていくことも考えています。