オブザーバビリティプラットフォームを提供するNew Relicは2025年11月26日、AIエージェントやMCPサーバーを含むAIシステムの複雑性に対応する、4つの新機能を発表した。
AIはあらゆる業界のデジタルビジネスを加速させている。特にソフトウェア開発分野では顕著であり、生成AIとの対話を通じてコードを記述する「バイブコーディング(Vibe Coding)」によって非エンジニアでも開発に参画しやすくなり、業務効率化やリリース速度の向上といった価値をもたらしている。

New Relic 執行役員 技術統括 兼CTOの松本大樹氏
一方で、New Relic 執行役員 技術統括 兼CTOの松本大樹氏は、こうしたコードは「運用エンジニアから見るとブラックボックス化しやすい」と指摘する。障害発生時の原因箇所や影響範囲の把握が難しく、エンジニアの運用負荷が増す可能性があるという。

複雑化するAIシステム運用の課題
また、ここ1〜2年でAIエージェントと外部ツールを連携させる仕組みとしてMCP(Model Context Protocol)サーバーが広がり、システムの構造はさらに複雑になっていると述べた。この状況下、ログやインフラだけでなく、アプリやユーザー体験を一貫して監視できるオブザーバビリティの重要性はさらに高まっているという。
複雑なAIシステム安定運用 MCPサーバー提供で外部連携を容易に
そこでNew Relicは、「AIのためのオブザーバビリティ」と「オブザーバビリティのためのAI」の2つの観点から新機能を開発した。
「AIのためのオブザーバビリティ」は、AIシステムを安定的に運用し、複雑化した処理の健全性を把握するための機能群だ。
まず「Agentic AI Monitoring」は、AIエージェントやMCPサーバーを含む処理をNew Relicプラットフォームが自動的に計測し、処理全体を可視化する。AI推論処理のどこで遅延やハルシネーションなどの失敗が生じているのか、どのエージェントの連携に異常があるのかといった点をリアルタイムに把握できるようになる。AI処理の複雑性が増すなか、パフォーマンス低下の兆候を早期に検知し、対処を迅速にすることが目的だ。

「Agentic AI Monitoring」はAIエージェントやMCPサーバーを含む処理を可視化
また、New Relicが収集するテレメトリーデータを開発・運用に活用するために、New Relic自身によるMCPサーバー「New Relic MCP Server」の提供を開始した。

テレメトリーデータを提供する「New Relic MCP Server」
これにより、開発者やサポート担当者が普段使用しているツールから離れることなく、直接New Relicのテレメトリーデータを取得することが可能になる。例えば、カスタマーサポート担当者がServiceNowから直接システムの状態を確認し、問い合わせに迅速かつ的確に対応できるという。同社 技術統括 コンサルティング部 兼 プロダクト技術部 部長の齊藤恒太氏は、「New Relicが掲げてきた『オブザーバビリティの民主化』がより進む」と語った。














