映像・放送機器の展示会「Inter BEE 2025」が2025年11月19日、幕張メッセで開幕した。
IPネットワークをベースにした放送制作を体感できる企画展示「IP PAVILION」では、今年も大規模な実証環境が構築され、ハイブリッドクラウドを軸にした新しい制作ワークフローが披露された。
プライベートクラウドとAWS双方でリモプロ リソースシェアリングも実証
企画を担当したファーウェイ・ジャパン 法人ビジネス事業本部 メディア事業部 部長の池田俊樹氏は、今回は「クラウドにより舵を切った展示」と位置づけた。

「IP PAVILION」のみどころを説明するファーウェイ・ジャパンの池田俊樹氏
具体的には、IP PAVILION会場内に「幕張テレビ」と「メッセテレビ」という2つの仮想テレビ局を設置したことが特徴だ。
幕張テレビはスカパーJSATスカパーJSATの東陽町データセンターをプライベートクラウド基盤と位置付け、ビデオスイッチャーやマルチビューワーなどの本体はすべて東陽町に設置。それらをネットワーク経由で延伸し、幕張メッセには操作パネルのみを置いて操作するという構成を取った。

「幕張テレビ」側の操作卓
一方のメッセテレビはAWS基盤を利用。AWS上の仮想マシンに放送系アプリケーションを配置した。関連局として「目黒テレビ」「米南テレビ」を設け、マスター操作は幕張から行える。操作系のUIは統一されており、「プライベートクラウドかAWSかは操作していても分からない」(池田氏)ほどレスポンスは速いという。
また、今回はクラウド制作の実証として、関西テレビ、読売テレビ、テレビ大阪の在阪民放3局と、東京・渋谷の「Yamaha Sound Crossing Shibuya」をリモートスタジオとして接続した。これらの拠点からの映像・音声は、幕張テレビ/メッセテレビの両系統で操作・受信でき、素材を双方でシェア可能としている。
さらに毎日放送(MBS)は“リモートサブ(Mサブ)”として参加。東陽町データセンター側のサブ設備と相互にリソースを共有し、時間帯によって操作権を切り替える運用デモが行われた。












