日立とドコモ、システム運用向けAIエージェントを共同実証 作業時間を最大6割短縮

日立製作所は2025年10月28日、NTTドコモと共同でシステム運用業務に特化したAIエージェントの実証実験を実施し、その有効性を確認したと発表した。

生成AIを活用してシステムエンジニアの業務効率化を図るとともに、運用ノウハウの継承を支援することが狙い。ドコモの情報システム部を対象に日立が開発したAIエージェントを用いて実証を行った。

実証のイメージ

実証のイメージ

同実証ではまず、ドコモの運用現場の業務を日立がヒアリングして暗黙知を明文化。その結果を踏まえ、AI エージェントを適用する業務の優先づけと、その基盤となる生成AI活用基盤の構築を行った。具体的には、AIエージェントを3つのユースケースに適用した。

1つめは「インシデント事例の検索・対応」。従来は顧客管理システムから手作業で類似事例を探す必要があったが、AIエージェントがアラートメッセージやサーバー情報をもとに関連する過去事例を自動抽出し、対応方針の判断を支援した。

2つ目は「インシデント情報の周知判断・周知文作成」。設備交換などに伴うシステム影響の把握や文書作成には多くの設計書の参照が必要だったが、AIエージェントが関連システムを自動的に特定し、周知文書案を生成することで業務時間を大幅に短縮した。

3つ目は「パッチ適用判断の自動化」。プライベートクラウドシステムのバグ情報を自動照合し、使用中の製品への影響有無を判定する仕組みを持つAIエージェントを導入した結果、バグ判定での作業時間を54%短縮。レポート作成ではAIエージェントがドラフトを作成することで64%の作業時間削減を確認した。

日立は今後、ドコモと連携してAIエージェントの実運用化に向けた取り組みを加速させるとともに、他業界への展開も視野に入れる。既存システムにAIを統合する「AIへのリフト」や、業務ロジック自体をAI化する「AIへのシフト」といったアプローチを通じ、システムエンジニア業務の変革と社会インフラの持続的運用をめざす。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。