楽天モバイルと東京科学大学は2025年10月17日、アナログ中継局を活用した5Gミリ波による効率的なエリア拡張技術に関する実証実験を実施したと発表した。
今回の実証では、東京科学大学の大岡山キャンパスに、4G、5GのSub6・ミリ波によるエンドツーエンドの完全仮想化5Gネットワーク環境を構築。具体的には、基地局の設置に比べて低コストかつ容易に導入できる「アナログ中継局」(レピーター)を配置することで、ミリ波のエリア拡張を試みた。アナログ中継局は、ビルの屋内や谷間、地下など、携帯電話の電波が届きづらい場所に設置した。
東京科学大学 大岡山キャンパスにて、アナログ中継局を使ってミリ波のカバーエリア拡張を検証
同実証により、これまでミリ波の電波が届きづらかったエリアにおいても、1Gbpsを超える高速通信が安定的に実現できたという。
アナログ中継局(レピーター)の導入前後におけるスループットの比較
また、通信品質を低下させる要因となる「マルチパス伝搬路」を意図的に形成した。マルチパス伝搬路とは、電波が山や建物などに反射し、複数の経路を通って受信側に届く現象。通常、この反射は電波の遅延や信号の乱れの原因となるが、今回はあえてその特性を逆手に取って活用した。
具体的には、5Gミリ波基地局が設置された大岡山キャンパス内にアナログ中継局を複数台配置し、それぞれのカバーエリアを重ねて構築することで、人工的にマルチパス伝搬路を形成。これにより、スマホで複数の中継局から電波を受信できるようになったという。その結果、一方向からの電波が遮られても通信品質が低下しづらくなり、安定した通信ができることを確認した。